配管設備のアスベスト事前調査|建築設備との違いを確認
著者・監修: 依田尚人(YDAIコンサルティング株式会社 代表)
配管設備のアスベスト事前調査|建築設備との違いを確認
配管設備は令和2年厚生労働省告示第278号第4号に掲げられますが、建築物に設ける給水・排水・換気・暖房・冷房・排煙設備等の建築設備は除かれます。設備名だけで扱いを決めず、設計図書、用途、設置場所、工事範囲をそろえたうえで、資格者に確認することが発注前の要点です。
根拠は石綿障害予防規則第3条、令和2年厚生労働省告示第276号および第278号です。告示276号の工作物関係は令和5年3月27日改正分が2026-01-01に施行されており、ここで示す法令の本文と告示は2026-09-06に確認しています。
配管設備の調査で先に確認すること

配管設備の調査では、配管という呼び方だけで対象を確定しません。告示の名称、建築物に設ける設備かどうか、実際に工事で触れる部分を分けて、依頼する範囲を整理します。
| 確認する項目 | 発注時に整理する内容 | 確認先 |
|---|---|---|
| 設備名 | 図面や設備台帳にある名称 | 設計図書・設備台帳 |
| 設置場所 | 建屋内、屋外、設備の接続部など | 現地写真・図面 |
| 用途 | 給排水、換気、製造設備の接続など | 設備担当者 |
| 工事範囲 | 撤去、切断、改修する部位 | 工事計画・見積書 |
告示にある配管設備の範囲
令和2年厚生労働省告示第278号第4号は、特定工作物として「配管設備」を掲げています。告示は、土地、建築物または工作物に設置されている、または設置されていたものを対象にしています。したがって、施設名や配管の太さだけではなく、どの設備のために設けられている配管かを資料でたどることが必要です。
特定工作物に当たる配管設備の解体等の作業では、2026-01-01以降に着工する工事から、告示276号第4号の工作物石綿事前調査者による調査が求められます。これは配管一般に一律の結論を与えるものではありません。発注側は、設備台帳、系統図、過去の改修記録を提示し、調査する部分を資格者と共有します。

建築設備として除かれる設備
同じ第4号には、建築物に設ける給水設備、排水設備、換気設備、暖房設備、冷房設備、排煙設備等の建築設備を除くという括弧書きがあります。給排水の配管という名称だけで、特定工作物側または建築設備側のどちらかに振り分けることはできません。
例えば、建屋の設備と製造設備をつなぐ箇所では、図面上の区分、用途、改修する部位を一緒に見ます。調査の依頼書には、配管の名称だけでなく、どこからどこまでを工事するか、付随する保温材・断熱材・耐火被覆材があるかも記載すると、確認の前提がそろいます。
発注前にそろえる情報

資料が十分に残っている案件でも、工事範囲が曖昧なら調査範囲も曖昧になります。依頼前に資料の有無と現地で見える範囲を区別しておくと、追加の確認が必要になったときにも経緯を追いやすくなります。
図面と工事範囲を確認する
平面図、設備図、配管系統図、改修図があれば、撤去、切断、接続替え、補修を予定する部分に印を付けます。設計図書等の文書と目視で全ての材料を確認することは、石綿障害予防規則第3条第2項で定められた調査方法です。図面が古い場合も、現地の状態と異なる箇所をそのままにせず、相違点を依頼時に伝えます。
工事対象外と考えている配管でも、支持部、保温材、接続部に作業が及ぶことがあります。作業工程に沿って対象部分を確認し、見積書の対象範囲と調査依頼の対象範囲を同じ言葉でそろえると、受領した記録との照合がしやすくなります。
設備の用途と設置場所を整理する
用途は、告示の名称と施設で使われる呼び方の間をつなぐ手掛かりです。設備担当者は、配管が給排水・空調のためのものか、製造設備や貯蔵設備、反応槽などに接続するものかを、図面や設備台帳で確認します。判断に必要な資料が不足するときは、どの資料がないかも依頼先に共有します。
屋外配管、建屋内の天井裏、機械室、地下ピットなど、設置場所によって目視できる範囲は変わります。構造上目視できない材料は、確認可能になった時点で事前調査を行うことが石綿障害予防規則第3条第9項で定められています。初回の調査範囲と、後日確認する可能性がある場所を分けて記録します。
調査者の資格と見積の確認

資格、見積、記録は別々の書類に見えても、同じ工事範囲を指している必要があります。発注時は、誰が調査を行うかだけでなく、受け取る記録に判断根拠が残るかまで確認します。
工作物の資格区分を確認する
告示276号第4号は、告示278号第1号から第5号までおよび第7号から第11号までの特定工作物について、工作物石綿事前調査者を定めています。配管設備は告示278号第4号なので、この区分を確認します。着工日が2026-01-01以降の工事かどうかも、見積依頼時の予定だけでなく実際の着工日で確認します。
資格者の氏名や資格を示す書類は、受領する記録でも確認できます。石綿障害予防規則第3条第7項は、記録に調査を行った者の氏名と資格を証明する書類の写しを残すことを定めています。資格名を略さず、対象となる工事範囲と一緒に確認すると、配管設備と建築設備の取り違えを防ぎやすくなります。
個別の該当性を断定しない理由
配管設備が告示に掲げられていても、個別の配管が特定工作物に当たるか、建築設備として除かれるかは、設備名だけからは決まりません。告示の括弧書き、設計図書、用途、設置場所、工事対象部分を合わせて確認する必要があります。
発注者が先に結論を決めるより、資料をそろえて資格者へ確認する方が、見積範囲と調査範囲の食い違いを減らせます。迷う部分は、図面の該当箇所、現地写真、改修予定の内容を一組にして渡し、確認した内容を記録に残します。
調査後の記録で確認する項目
調査後の記録では、調査終了日、調査した部分、調査方法、材料ごとの石綿等の使用の有無、石綿なしと判断した根拠を確認します。石綿障害予防規則第3条第7項により、記録は調査終了日から3年間保存します。配管に関する図面と記録の対象範囲を照合し、未確認の場所がないかを確認します。
工作物の17種と資格区分は、特定工作物17種のアスベスト事前調査で整理しています。事前調査の対象や手続の違いは、アスベスト事前調査の義務もあわせて確認できます。カテゴリの法令・制度解説から関連する記事を探せます。
配管設備の工事では、設備本体の名称と、配管の用途、設置位置、被覆材の位置が同じ資料に書かれていないことがあります。依頼前に設備台帳、系統図、写真、工事仕様書を並べ、どの配管を撤去・改修するかを図面番号で確認します。
建築設備として除かれる配管かどうかを名称だけで発注側が決めず、用途と工事対象の範囲を調査者に示します。途中で対象配管が増えた場合は、確認済みの経路と追加する経路を分け、調査記録と見積の対象を照合します。特定工作物のアスベスト調査も、設備の列挙と依頼内容を確認する際に役立ちます。
設備台帳に配管の用途が記載されていない場合は、図面の系統、接続する設備、設置場所、今回の工事内容を併せて共有します。配管の一部を残す、経路を変更する、被覆材に触れる工事を追加する場合は、既に確認した範囲と新しい範囲を区別します。プラント設備のアスベスト事前調査も、設備と周辺部材の依頼内容を整理する際に参照できます。
よくある質問

給排水の配管はすべて建築設備ですか
いいえ。告示278号第4号は建築物に設ける給水・排水・換気・暖房・冷房・排煙設備等の建築設備を除いて配管設備を掲げていますが、個別の配管の扱いは設備名だけでは決まりません。設計図書、用途、設置場所、工事対象部分を資格者に示して確認します(令和2年厚生労働省告示第278号、2026-09-06確認)。
配管設備の調査はいつ資格者に依頼しますか
配管設備を含む工事の範囲と着工日を整理した時点で依頼します。告示278号第4号の配管設備は、2026-01-01以降に着工する工事では告示276号第4号の工作物石綿事前調査者による調査の区分を確認します(令和2年厚生労働省告示第276号、2026-09-06確認)。
図面がない場合はどうしますか
設計図書等の文書が存在しない場合は文書確認の方法はこの限りではなく、目視による確認を行います。構造上目視できない材料があるときは、確認可能になった時点で事前調査を行うため、手元の写真、設備台帳、工事範囲を整理して依頼先に共有します(石綿障害予防規則第3条、2026-09-06確認)。
出典
本記事の出典は に内容を確認しています。
- 石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号)(laws.e-gov.go.jp)
- 令和2年厚生労働省告示第276号(mhlw.go.jp)
- 令和2年厚生労働省告示第278号(mhlw.go.jp)
著者・監修
依田尚人YDAIコンサルティング株式会社 代表
依田尚人は YDAIコンサルティング株式会社 代表。石綿障害予防規則の事前調査義務・資格者制度・調査費用の構造について、e-Gov・厚生労働省等の公開情報を一次ソースまで確認する工程を標準として、本サイトの記事を設計・監修しています。
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