発電・変電・配電・送電設備のアスベスト事前調査
著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表
目次
発電、変電、配電、送電設備は令和2年厚生労働省告示第278号第8号から第11号にそれぞれ掲げられています。発電設備では太陽光発電設備と風力発電設備を除き、送電設備にはケーブルを含むため、設備の名称と工事対象部分を資格者に示して調査範囲を確認します。
根拠は石綿障害予防規則第3条第4項、令和2年厚生労働省告示第276号、第278号です。工作物に関する資格者調査の要件は2026-01-01以降に着工する工事から施行済みであり、条文と告示は2026-09-06に確認しています。
電気設備群で先に確認すること

電気設備群は一つの敷地や系統でつながっていても、告示上の名称と工事の対象部分を分けて確認します。発電設備、変電設備、配電設備、送電設備をまとめて呼ぶ場合でも、どの設備を撤去・改修するかを図面上で明らかにします。
| 区分 | 告示上の名称 | 発注時に確認する事項 |
|---|---|---|
| 発電 | 発電設備 | 太陽光・風力に当たらないか、工事部位 |
| 変電 | 変電設備 | 設置場所、改修する機器・周辺材料 |
| 配電 | 配電設備 | 系統、接続部、作業範囲 |
| 送電 | 送電設備 | ケーブルを含む範囲、撤去・改修箇所 |
発電設備にある除外規定
告示278号第8号は発電設備を掲げていますが、太陽光発電設備および風力発電設備を除くと定めています。この除外規定があるため、発電という用途だけで特定工作物に当たると決めることはできません。設備台帳、系統図、工事仕様書をそろえ、対象となる設備の名称と設置状況を確認します。
除外規定を確認する場面では、工事の対象が発電設備そのものか、建屋側の設備か、周辺の配線・保温材等を含むかを分けて記載します。資格者へ依頼する際は、予定している撤去、切断、更新、補修の部位を示し、調査する材料の範囲を見積書と対応させることが重要です。

変電設備と配電設備を分けて確認する
変電設備は告示278号第9号、配電設備は第10号です。実務で使う設備名称が告示の名称と完全に一致しないこともあるため、発注者は名称の近さだけで結論を出さず、用途、接続関係、設置場所、工事対象部分を整理します。
一つの更新工事に変電設備と配電設備が含まれるときは、同じ見積書の中でも対象範囲を区別しておくと確認しやすくなります。調査結果の記録には、事前調査を行った部分や材料ごとの判断根拠を残すことが石綿障害予防規則第3条第7項で定められています。工事範囲の言葉と記録の言葉を合わせます。
送電設備とケーブルの扱い

送電設備の調査では、設備本体だけでなく、告示に明記されたケーブルを含む範囲を工事計画に照らします。配線やケーブルの経路、支持部、付随する材料をどこまで作業するかで、調査の依頼内容が変わります。
送電設備に含まれるケーブル
告示278号第11号は、送電設備について「ケーブルを含む」と定めています。ケーブルを含むという文言は、全てのケーブルを一律に判定する趣旨ではありません。送電設備の工事に係る部分として、どの経路を撤去・改修し、どの材料を確認するかを資格者に伝えるための基礎情報になります。
発注前には、ケーブルの始点・終点、屋内外の別、施工する区間、既設設備との接続関係を図面に整理します。図面が残っていない区間では、現地写真や設備台帳を補い、確認できない部分を分けて共有します。構造上目視が難しい材料は、確認可能になった時点で調査することが石綿障害予防規則第3条第9項に定められています。
設備名だけで対象を決めない理由
告示278号の第8号から第11号は設備の名称を示しますが、個別の設備がそのどれに当たるかは案件ごとの資料と工事内容で確認します。電気事業法上の区分や他の制度上の呼び方を足して、告示の対象を狭めたり広げたりする根拠にはできません。
依頼時には、工事を行う場所、設備の用途、設置状況、図面の有無、着工予定日をそろえます。資格者が判断に使った資料や現地確認の範囲を記録に残せるようにしておくと、後から工事箇所が増えた際にも、どこを改めて確認すべきかを追えます。
発注時の確認表

発注時に必要なのは、告示番号を覚えることだけではありません。工事範囲を正確に伝え、資格区分と着工日を確認し、調査後の記録を受け取る流れを見積条件に含めます。
工事範囲と設置場所をそろえる
設備名称、設置場所、改修・撤去する部位、作業の内容を一枚の一覧にします。発電、変電、配電、送電の各設備が同じ工事に含まれるときは、対象部分を分けて示します。作業が設備本体だけでなく、ケーブル、支持部、周辺の保温材・断熱材・耐火被覆材に及ぶ可能性も、依頼時に共有します。
見積の金額だけで調査範囲を比較すると、資料確認や現地確認の前提が異なることがあります。工事担当者と設備担当者が同じ図面を参照し、対象部分を区切って依頼すると、調査後の記録と工事の実施範囲を照合しやすくなります。
資格区分と着工日を確認する
告示276号第4号は、告示278号第1号から第5号までおよび第7号から第11号までの特定工作物について、工作物石綿事前調査者を定めています。発電、変電、配電、送電設備はこの第4号グループに入ります。2026-01-01以降に着工する工事かどうかを、実際の着工日で確認します。
資格の確認では、見積書に担当者名と資格区分が記載されているか、調査後の記録に資格を証明する書類の写しがあるかを見ます。一つの資格名だけを手掛かりにせず、対象設備と工事範囲に合う区分かを確認することが、発注側の資料整理につながります。
調査結果の記録を確認する
石綿障害予防規則第3条第7項では、調査終了日、事前調査を行った部分、調査方法、材料ごとの石綿等の使用の有無、石綿なしと判断した根拠、調査者の氏名と資格書類の写しなどを記録することが定められています。記録は調査終了日から3年間保存します。
電気設備の工事では、設備図と記録に書かれた対象部分が対応しているかを確認します。特定工作物17種の資格区分と、工場・プラント設備の事前調査も、設備ごとの整理に役立ちます。関連する記事は法令・制度解説から確認できます。
発電設備、変圧器、配電設備、送電設備は、系統図の名称と現地の表示が異なることがあります。依頼書には、設備番号、設置場所、工事で触れる部位、既存図面の版を記載し、設備の種類と工事範囲を対応させます。
建屋側の工事と設備側の工事が同時にある場合は、対象材料を一つの名称にまとめず、どの資料でどの範囲を確認するかを分けます。停電や立入りの条件で確認日が変わる場合にも、未確認の部位と確認可能な工程を残します。アスベスト事前調査の義務で、工事前に確認する材料の範囲も確認できます。
電源を止める時期や保安上の立入り条件がある場合は、調査日、設備の停止日、工事の着手日を別に工程表へ記載します。変圧器、配電盤、ケーブルなど複数の設備に作業が及ぶときは、設備番号と位置を図面・写真に記し、調査対象を分けます。アスベスト調査会社の選び方も、資格と見積範囲を確認する資料になります。
よくある質問
- Q. 太陽光発電設備は同じ扱いですか
- 告示278号第8号の発電設備には太陽光発電設備および風力発電設備を除くという規定があります。個別の工事でどの区分に当たるかは、設備の用途、設置状況、工事対象部分を資格者に示して確認します(令和2年厚生労働省告示第278号、2026-09-06確認)。
- Q. 配電設備だけを別に依頼できますか
- 工事範囲を配電設備の部分として区切って依頼することはできますが、同じ工事に他の設備や接続部が含まれる場合は、その範囲も確認します。配電設備は告示278号第10号に掲げられ、2026-01-01以降に着工する工事では告示276号第4号の資格区分を確認します(令和2年厚生労働省告示第276号、2026-09-06確認)。
- Q. ケーブルも確認対象に含めますか
- 送電設備は告示278号第11号でケーブルを含むと定められています。発注時には、撤去・改修するケーブルの経路、接続先、作業する区間を図面や写真で整理し、設備名だけでは確定できない部分を資格者に確認します(令和2年厚生労働省告示第278号、2026-09-06確認)。
出典
本記事の出典は に内容を確認しています。
- 1.石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号)(laws.e-gov.go.jp)
- 2.令和2年厚生労働省告示第276号(mhlw.go.jp)
- 3.令和2年厚生労働省告示第278号(mhlw.go.jp)