法令・制度解説

特定工作物以外のアスベスト調査|塗料等の除去で確認する資格

依
依田尚人

著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表

9分
目次

塗料等の除去作業では、特定工作物以外の工作物であっても、資格者によるアスベスト事前調査を確認する場面があります。石綿障害予防規則第3条第4項ただし書と告示276号5号は、塗料その他の石綿等が使用されているおそれがある材料の除去等の作業を対象に示しています。

「特定工作物に該当しない設備だから、資格確認は不要ではないか」と考えることがあります。しかし、工作物名だけで終わらせず、除去する材料と作業内容まで分けて確認する必要があります。

この記事では、特定工作物以外の工作物に関する限定的な範囲と、依頼先の資格を確認する方法を整理します。個別設備の該当性や、材料が石綿を含むかの判断は扱いません。

本記事で分かること

  • 特定工作物以外で資格確認が関わる作業
  • 告示276号5号で確認する調査者の区分
  • 発注前に材料と工事内容を分ける方法

結論:特定工作物以外でも工事内容で資格確認が必要になる(早見表)

資格確認の起点は、工作物名だけでなく除去する材料です。 特定工作物の10種・7種の分け方は、特定工作物の資格区分で確認できます。対象が特定工作物ではない場合も、塗料等の除去作業という条件を別に確認します。

特定工作物以外の工作物で塗料等の除去を確認する早見図
特定工作物以外の工作物で塗料等の除去を確認する早見図
工作物の整理作業内容調査者の確認根拠
特定工作物解体等の作業告示276号4号・5号を確認石綿則3条4項
特定工作物以外塗料その他の材料の除去等告示276号5号を確認同項ただし書
特定工作物以外上記以外の作業工作物名だけで結論を出さない工事内容を整理

特定工作物以外のただし書を読む

石綿障害予防規則第3条第4項ただし書は、特定工作物以外の工作物について、塗料その他の石綿等が使用されているおそれがある材料の除去等の作業に係る事前調査に範囲を限っています。全ての工作物の全ての作業を同じ文言で説明するものではありません。

そのため、発注資料では工作物の名称だけでなく、塗装面などどの材料にどの作業を行う予定かを分けて記します。材料の有無を発注者が決めるのではなく、調査で確認する前提の情報を渡します。

塗料その他の材料に着目する

「塗料その他の石綿等が使用されているおそれがある材料」は、告示276号5号の対象を説明するための条件です。工事の見積書に「補修」とだけ書かれている場合でも、除去、削り取り、切断など予定する作業を確認しておくと、対象範囲を共有しやすくなります。

現場写真、設備図、仕様書があれば、材料が使われている可能性のある箇所と工事箇所を対応させます。後から作業範囲が増えたときも、どの部分を追加で確認するかを追いやすくなります。

資格者調査が問題になる作業の範囲

除去等の作業を具体化すると、確認すべき制度範囲が見えます。 特定工作物以外だからという理由だけで、調査や資格確認を一律に外すことはできません。

工作物名・材料・除去作業を分けて整理する図
工作物名・材料・除去作業を分けて整理する図
確認する順序整理する情報目的
1工作物の名称と設置場所対象物を特定する
2作業に係る材料と部位塗料等の除去作業を確認する
3解体・改修の内容と着工日資格者調査の確認につなげる

材料の除去を伴う工事を分ける

補修、更新、撤去といった工事名だけでは、実際に材料を除去するかが分からないことがあります。工事範囲表に、対象部位、予定する作業、材料が露出する可能性を記載して、調査側が確認できる状態にします。

特定工作物以外の工作物に関するただし書は、工事を小さく見せるための基準ではありません。石綿則第3条第1項の事前調査義務と、資格者による調査の確認を別の論点として読みます。

調査対象と作業対象を混同しない

調査対象は、解体等の作業に係る部分の材料です。一方、工事側の作業対象は、撤去する設備や塗装面などとして記載されることがあります。二つの範囲がずれる場合は、図面上でどこを調査するかを確認します。

「塗料を除去する」と記載があるからといって、発注者自身が材料の含有を結論付ける必要はありません。工事の内容を正確に共有し、調査結果と照合できるようにすることが重要です。

個別設備への当てはめを急がない

告示278号の特定工作物に当たるか、建築設備に当たるかなどは、設備名だけでは判断できない場合があります。名称の似た設備を例に挙げて一般化すると、除外規定を落とすおそれがあります。

資料を整えたうえで、個別の該当性は所管の労働基準監督署などへ確認します。建築物と工作物の資格の違いも参照し、建屋の部分と設備の部分を混ぜないでください。

依頼先の資格を確認する方法

この場面では、一般建築物石綿含有建材調査者または特定建築物石綿含有建材調査者でも可と確認します。 告示276号5号は、1号または4号に掲げる者を示しています。ここでいう1号の建築物調査者は、一般・特定の二つを具体的に確認します。

告示276号5号で確認する調査者区分と資格証明書の図
告示276号5号で確認する調査者区分と資格証明書の図
調査者区分5号側での確認注意点
一般建築物石綿含有建材調査者調査できる者として確認資格名を省略しない
特定建築物石綿含有建材調査者調査できる者として確認資格名を省略しない
工作物石綿事前調査者調査できる者として確認4号側と混同しない

一般建築物調査者を確認する

一般建築物石綿含有建材調査者は、告示276号5号でいう1号に掲げる者の一つです。特定工作物以外の工作物で塗料等の除去作業に係る場合も、この資格区分でも可と、対象と根拠をセットで確認します。

「建築物系の資格」とだけ記すと、一戸建て等石綿含有建材調査者まで含むように読めるおそれがあります。資格証明書では、一般建築物石綿含有建材調査者と明記された区分を確認します。

特定建築物調査者を確認する

特定建築物石綿含有建材調査者も、告示276号5号の1号に掲げる者として確認します。一般建築物石綿含有建材調査者と同様に、工事対象、材料の除去等の作業、資格証明書を対応させます。

令和8年(2026年)1月1日以降に着工する工事からという基準を、依頼資料と工程表で確認します。未来の制度としてではなく、すでに施行されている要件として記録します。

工作物石綿事前調査者を確認する

工作物石綿事前調査者も告示276号5号で確認できる者です。5号側を説明するときは、工作物石綿事前調査者だけに限るとは書かず、一般・特定建築物石綿含有建材調査者でも可という開放方向を保ちます。

調査を行う者の氏名と資格証明書の写しは、事前調査の記録でも確認する情報です。アスベスト調査会社を選ぶ際の確認点と合わせ、依頼前に書類の受領方法を決めます。

発注前に工事内容を伝える

材料と作業を分けて伝えると、資格確認が記録に残ります。 調査側に渡す資料は、設備名称だけを並べるより、工事範囲と作業内容を対応させた方が有用です。

設備名称・塗装面・作業内容を発注前に整理する図
設備名称・塗装面・作業内容を発注前に整理する図
伝達項目記載する内容確認先
工事対象工作物名称、設置場所、部位図面・設備台帳
作業内容撤去、補修、除去等の予定工事範囲表
調査者情報氏名、資格区分、証明書の写し依頼先の書類

工事対象の名称を記す

社内で使う略称だけではなく、設置場所や図面上の名称も併記します。複数の設備に工事が及ぶなら、設備ごとに行を分け、どこまでが今回の対象かを明らかにします。

建築物の部位と工作物の部位が同じ工事範囲表にある場合は、対象物の列を分けます。資格確認を一つにまとめず、資料の段階で区別することが漏れの防止につながります。

除去予定の材料を確認する

塗料その他の材料を除去する予定がある部位は、作業の方法を確定する前でも、対象箇所として共有します。事前調査後に工事方法が変わる場合は、追加で触れる材料がないかを確認します。

工事を発注する側は、調査範囲を縮めるためではなく、必要な確認を依頼先と共有するために情報を整理します。材料、作業、着工日、資格証明を一つの案件資料で追える状態にしてください。

作業方法が未定でも除去予定部位を共有する図
作業方法が未定でも除去予定部位を共有する図

まとめ

特定工作物以外の工作物でも、塗料その他の材料の除去等の作業では資格者による事前調査を確認する場面があります。工作物名だけで判断せず、材料、作業内容、着工日、資格証明を分けて照合することが重要です。

工作物の調査に関する次の確認事項は、法令・制度解説の記事一覧から確認できます。

よくある質問

Q. 特定工作物以外なら資格者による調査は不要ですか
特定工作物以外の工作物でも、塗料その他の石綿等が使用されているおそれがある材料の除去等の作業に係る事前調査では、石綿障害予防規則第3条第4項ただし書と告示276号5号を確認します。工作物名だけで一律に不要と判断しません。
Q. 塗料の除去を伴う工事で何を確認しますか
工作物の名称と設置場所、塗料等がある可能性のある部位、除去等の作業内容、工事の着工日を整理します。そのうえで、一般建築物石綿含有建材調査者、特定建築物石綿含有建材調査者、工作物石綿事前調査者のいずれを確認するかを、告示276号5号に沿って確認します。
Q. 一戸建て等石綿含有建材調査者でも対応できますか
対応できません。特定工作物以外の工作物で塗料等の除去作業に係る事前調査は、告示276号5号により、一般建築物石綿含有建材調査者、特定建築物石綿含有建材調査者または工作物石綿事前調査者が対応します。対象となる作業内容と着工日も併せて確認します。対象工作物との区分も資料で確認します。

出典

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