特定工作物のアスベスト調査|資格区分を10種・7種に分ける
著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表
目次
17種のグループ分けを確認すると、特定工作物のアスベスト事前調査で見る資格区分が整理できます。告示276号では、工作物石綿事前調査者に限る十種と、一般建築物石綿含有建材調査者または特定建築物石綿含有建材調査者でも可とされる七種に分かれます。
「設備の一覧に名称はあるが、依頼先の資格をどう確かめればよいか」と迷う場面があります。特定工作物という大きな括りだけで判断すると、十種と七種の違い、さらに告示278号の除外規定を見落としがちです。
この記事では、資格確認のための10種・7種の読み方を説明します。個別の設備が告示に当たるかを断定するのではなく、名称、設置場所、除外規定を照合する準備に絞ります。
本記事で分かること
- 告示276号4号と5号の資格分岐
- 特定工作物17種を確認する際の注意
- 依頼時に資格証明と対象名称を対応させる方法
結論:特定工作物は10種と7種で資格確認を分ける(早見表)
特定工作物の資格は、告示上のグループごとに確認します。 対象物が建築物か工作物かを分ける考え方は、建築物と工作物の資格の違いで確認できます。特定工作物と整理した場合も、17種全てを同じ資格要件として扱いません。

| 資格確認のグループ | 告示278号の号 | 調査者区分 | 着工日基準 |
|---|---|---|---|
| 10種 | 第1号〜第5号・第7号〜第11号 | 工作物石綿事前調査者 | 2026年1月1日以降 |
| 7種 | 第6号・第12号〜第17号 | 一般・特定建築物調査者でも可 | 2026年1月1日以降 |
| 個別確認 | 除外規定を含めて読む | 資格名だけで断定しない | 工程表で着工日を確認 |
工作物石綿事前調査者に限る10種
告示276号4号は、告示278号第1号から第5号までと、第7号から第11号までを対象にしています。この十種では、工作物石綿事前調査者の資格区分を確認します。
十種の対象は、反応槽、加熱炉、ボイラー及び圧力容器、配管設備、焼却設備、貯蔵設備、発電設備、変電設備、配電設備、送電設備です。名称だけでなく、告示278号の括弧書きにある除外規定も同時に見ます。
一般・特定建築物調査者でも行える7種
告示276号5号は、告示278号第6号、第12号から第17号までの七種を対象にしています。煙突、トンネルの天井板、プラットホームの上家、遮音壁、軽量盛土保護パネル、鉄道の駅の地下式構造部分の壁及び天井板、観光用エレベーターの昇降路の囲いが含まれます。
このグループは、一般建築物石綿含有建材調査者または特定建築物石綿含有建材調査者でも可と整理します。一戸建て等石綿含有建材調査者は告示276号2号の区分であり、5号グループには含めません。
10種の工作物で確認する調査者
10種では、工作物石綿事前調査者という限定を外しません。 ただし、設備の通称と告示上の名称が一致して見えても、設置場所や除外規定まで確認する必要があります。

| 対象のまとまり | 告示上の名称 | 読むときの確認点 |
|---|---|---|
| 製造・処理設備 | 反応槽、加熱炉、焼却設備 | 設備名称と作業対象 |
| 容器・輸送設備 | ボイラー及び圧力容器、配管設備、貯蔵設備 | 除外規定と設置場所 |
| 電力設備 | 発電、変電、配電、送電設備 | 発電設備の除外、送電設備の範囲 |
反応槽から焼却設備までを読む
反応槽、加熱炉、ボイラー及び圧力容器、配管設備、焼却設備は、告示278号第1号から第5号までに並びます。依頼資料には、設備の名称、設置場所、解体か改修か、工事に係る部分を記載します。
配管設備は建築物に設ける給水設備、排水設備、換気設備、暖房設備、冷房設備、排煙設備などの建築設備を除くとされています。一般的に「配管」と呼んでいても、告示上の扱いを発注者だけで決めないことが必要です。
貯蔵設備から送電設備までを読む
貯蔵設備、発電設備、変電設備、配電設備、送電設備は、告示278号第7号から第11号までです。貯蔵設備は穀物を貯蔵するための設備を除き、発電設備は太陽光発電設備および風力発電設備を除きます。
送電設備にはケーブルを含むとされています。設備台帳、設置図、工事範囲表をそろえ、告示の名称と照合できる情報を調査側へ渡します。プラント設備の事前調査も、設備情報を整理する参考になります。
設備名だけで該当を断定しない
設備の社内名称や図面上の略称は、告示の名称と同じとは限りません。たとえば配管設備、煙突、観光用エレベーターには、建築設備や建築物であるものに関する除外規定があります。
そのため、見積書の一行だけで「10種に当たる」と決めず、対象物の構造、設置場所、工事の範囲を確認します。個別の該当性に迷う場合は、所管の労働基準監督署などに確認する前提で資料を準備します。
7種の工作物で確認する選択肢
7種では、一般または特定建築物調査者も選択肢になります。 この開放方向を確認することで、17種すべてを一律に扱う誤りを避けられます。

| 7種の例 | 告示上の注意 | 資格確認の考え方 |
|---|---|---|
| 煙突 | 建築物の排煙設備等を除く | 一般・特定建築物調査者でも可 |
| 鉄道関連の工作物 | 告示278号第12号〜第16号を確認 | 名称と設置場所を対応させる |
| 観光用エレベーターの囲い | 建築物であるものを除く | 除外規定を落とさない |
煙突から軽量盛土保護パネルまでを読む
煙突は告示278号第6号で、建築物に設ける排煙設備等の建築設備を除きます。第12号から第15号には、トンネルの天井板、プラットホームの上家、遮音壁、軽量盛土保護パネルが並びます。
これらを5号グループとして説明するときは、一般建築物石綿含有建材調査者または特定建築物石綿含有建材調査者でも可と、資格名を省略せずに書きます。令和8年(2026年)1月1日以降に着工する工事からの基準も併記します。
鉄道設備と観光用エレベーターを読む
第16号は鉄道の駅の地下式構造部分の壁及び天井板、第17号は観光用エレベーターの昇降路の囲いです。第17号には建築物であるものを除くという条件があり、一般的なエレベーター全体を指す名称ではありません。
設備名称を簡略化すると、告示にない対象まで含めてしまうおそれがあります。資料では告示の号番号と対象名称を対応させ、通称だけを根拠に資格を決めないようにします。
一戸建て等の資格を含めない理由
一戸建て等石綿含有建材調査者は、告示276号2号で一戸建て住宅と共同住宅の住戸内部を対象とする区分です。5号グループでいう「1号又は4号に掲げる者」には含まれません。
「建築物の資格なら何でもよい」と省略せず、一般建築物石綿含有建材調査者または特定建築物石綿含有建材調査者と明記します。資格分岐の根拠には、ポータルの丸数字ではなく告示276号・278号の号番号を使います。
依頼時に残す資格確認の記録
資格の確認は、依頼先の名称だけでなく証明書類で残します。 工事対象の名称と、調査を行う者の氏名・資格区分を対応させると、調査後の記録も追いやすくなります。

| 残す情報 | 目的 | 確認する資料 |
|---|---|---|
| 対象工作物の名称・設置場所 | 告示との照合 | 設備台帳・図面 |
| 着工日・工事内容 | 基準日の照合 | 工程表・発注書 |
| 調査者の氏名・資格区分 | 調査記録との照合 | 資格証明書の写し |
依頼書の対象名称を整える
依頼書には、設備の通称だけでなく、告示との照合に使える名称、設置場所、工事範囲を記します。撤去するのか、補修するのか、部分的に改造するのかも、対象ごとに区別します。
複数の設備がある場合は、十種・七種の結論を発注者側だけで書き込むより、資料を一覧化して調査側と確認する段取りを取ります。調査範囲の漏れを防ぐことが優先です。
資格証明の写しを確認する
事前調査記録には、調査を行った者の氏名と、資格者であることを証明する書類の写しを確認する項目があります。調査が完了してから資格を確認するのではなく、依頼時から書類の受領を予定しておくと照合しやすくなります。
資格証明の写しと記録は、設備の対象名称と同じ案件単位で保管してください。調査義務の範囲は、アスベスト事前調査の義務と手続でも確認できます。

まとめ
特定工作物のアスベスト調査は、17種を十種と七種に分け、告示276号4号・5号の資格分岐を確認します。対象名称、除外規定、着工日、資格証明書を一緒に照合することで、依頼資料の精度を高められます。
特定工作物に関する次の確認事項は、法令・制度解説の記事一覧から確認できます。
よくある質問
- Q. 10種と7種は何が違いますか
- 告示276号4号の十種は工作物石綿事前調査者に限る区分で、5号の七種は一般建築物石綿含有建材調査者または特定建築物石綿含有建材調査者でも可とされる区分です。どちらも令和8年(2026年)1月1日以降に着工する工事から確認します。
- Q. 7種の調査は一戸建て等石綿含有建材調査者に頼めますか
- 頼めません。令和8年(2026年)1月1日以降に着工する工事では、告示276号5号の七種は一般建築物石綿含有建材調査者、特定建築物石綿含有建材調査者または工作物石綿事前調査者が対応できる区分で、一戸建て等石綿含有建材調査者は含まれません。
- Q. 設備が17種に当たるか迷うときは何を確認しますか
- 設備台帳、設置図、工事範囲、告示278号の対象名称と括弧書きの除外規定を確認します。名称が似ているだけで結論を出さず、建築設備かどうかなど個別の該当性に迷う場合は、所管窓口へ確認できる資料を整えます。
出典
本記事の出典は に内容を確認しています。
- 1.石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号)(laws.e-gov.go.jp)
- 2.石綿障害予防規則第三条第四項の規定に基づき厚生労働大臣が定める者(mhlw.go.jp)
- 3.石綿障害予防規則第三条第四項ただし書の規定に基づき厚生労働大臣が定める工作物(mhlw.go.jp)