法令・制度解説

アスベスト建材のレベル3とは?法令上の位置づけと事前調査

依
依田尚人

著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表

8分
目次

いわゆるレベル1からレベル3は法令の条文上の区分ではありません。法令では石綿含有建材を特定建築材料として扱い、解体・改修の前には材料の使用の有無を調査します。14日前の届出は、吹付け石綿、石綿含有断熱材、保温材、耐火被覆材を除去する一定の工事と結び付けて判断します。

根拠は大気汚染防止法と石綿障害予防規則第3条です。条文の確認日は2026-09-06です。材料の呼び方、事前調査、届出の三つを同じ意味として扱わないことが、発注内容を整理する出発点になります。

レベル3の位置づけを先に整理する

レベルの呼び方と法令上の確認項目を分けた早見図
レベルの呼び方と法令上の確認項目を分けた早見図

レベル3という呼び方は、材料の状態や作業時の注意を説明する場面で使われることがあります。しかし、発注前に確認する事項は呼び方だけで決まりません。どの部位を解体・改修するのか、どの材料を調査するのか、どの工事が届出に関係するのかを別々に確認します。

整理する視点確認する内容発注時に残す情報
実務上の呼び方レベル1から3の説明に使う名称呼び方を使う場合の対象材料
法令上の区分特定建築材料に当たる材料調査した部位と判断根拠
事前調査解体・改修に係る全ての材料調査方法と調査終了日
届出材料と工事内容による対象工事範囲と手続の確認結果

レベル区分が条文にない理由

大気汚染防止法や石綿障害予防規則の条文は、レベル1、レベル2、レベル3という番号で材料を分類していません。発注書、既存の台帳、過去の調査記録にこの呼び方があっても、法令上の確認が済んだことにはなりません。材料名、使用箇所、工事で触れる範囲を調査記録と照合します。

番号による説明は、関係者の共通理解をつくる補助になります。一方で、同じ番号の記載だけでは、石綿の有無、材料の状態、今回の工事対象部分までは分かりません。図面に示す位置、現地の部位名、改修か撤去かという工事内容をそろえて依頼先に伝えます。

過去の資料で呼び方が異なる場合は、どちらが正しいかを発注側だけで決める必要はありません。資料の表題、作成年、対象の棟や室、材料名を併記し、調査を行う者が確認できるようにします。言葉を統一することより、対象部分を取り違えないことが優先されます。

特定建築材料としての範囲

大気汚染防止法では、石綿を含有する建築材料を特定建築材料として定めています。レベル3と呼ばれる材料であっても、石綿を含有していればこの枠組みと無関係ではありません。建物や設備の解体・改修に係る材料は、調査で使用の有無を確認します。

材料が石綿を含有しないと判断したときも、調査記録には判断の根拠を残します。製造時期だけでなく、設計図書等の文書、目視、分析または石綿含有とみなす方法のどれを用いたかを確認すると、後の工事範囲との照合がしやすくなります。

発注者が材料の名称から安全性や届出の要否を決める必要はありません。工事予定の壁、天井、床、配管周辺などを図面や写真で示し、調査対象から外す部分がある場合も明確にします。調査結果を受け取った後に、工事内容と材料の対応を確認します。

事前調査と届出を分けて考える

事前調査と14日前届出の判断を別々に確認する図解
事前調査と14日前届出の判断を別々に確認する図解

事前調査は、解体または改修の作業に係る建築物等の材料を対象にします。届出は、材料名だけでなく、除去する作業の内容と結び付けて確認します。レベル3という一語だけで、調査の対象外または届出の対象外と結論付けないことが大切です。

事前調査の対象となる場面

石綿障害予防規則第3条は、建築物等の解体等の作業を行う前に、石綿等の使用の有無を調査することを定めています。対象は今回の作業に係る部分であり、建物全体の用途や通称だけで調査範囲を決めるものではありません。補修、更新、撤去などの作業内容を部位ごとに整理します。

調査では、設計図書等の文書と目視を用いて材料を確認します。文書が存在しないときは文書確認の方法はこの限りではなく、目視による確認を行います。構造上目視できない材料があれば、確認可能になった時点で事前調査を行う扱いです。

発注前に工事範囲が変わる可能性がある場合は、未確定の部位を分けて記録します。着手後に初めて見える箇所を含め、いつ、どの範囲を確認するかを依頼内容に残すと、調査記録と工程表の対応を追いやすくなります。

14日前届出の対象となる材料

大気汚染防止法の届出は、吹付け石綿、石綿含有断熱材、保温材、耐火被覆材を除去する作業などを対象にします。届出に関係するかどうかは、材料の呼び方ではなく、実際に扱う材料と工事内容から確認します。事前調査と届出は、確認する段階も記録も異なります。

たとえば、調査で石綿含有建材が見つかったことだけから、14日前届出の要否を決めることはできません。調査結果にある材料名、使用箇所、工事で行う作業をそろえ、届出の対象となる作業かを確認します。発注者、元請、施工者の役割も工事の体制で確認します。

届出に関する資料と調査記録は、同じ内容を重複して書くためのものではありません。調査の対象部分、材料の判断根拠、予定する作業を対応させることで、必要な確認を一つの呼び方に押し込めずに済みます。

発注前の確認項目

材料名と工事内容を照合して依頼内容を整理する手順
材料名と工事内容を照合して依頼内容を整理する手順

発注前は、既存資料にあるレベルの記載を手がかりにしつつ、工事対象の材料と作業を整理します。調査の結論を先に想定するよりも、情報の不足や範囲の変更を依頼書に残す方が、調査後の確認に役立ちます。

材料名だけで安全性を決めない

材料名は、調査対象を特定するための重要な情報です。ただし、名称が分かっても石綿の使用の有無や、工事でどのように扱うかまでは決まりません。既存図面、改修記録、写真に記載された材料名を集め、現地の位置と結び付けて共有します。

保温材、断熱材、耐火被覆材のように法令上の届出と関係する名称を見つけた場合も、現物を確認せずに手続を決めません。調査結果で示された材料、部位、根拠と、工事仕様書にある撤去・改修の内容を照合します。

材料の記載が曖昧な資料は、そのまま隠さずに調査依頼に添えます。資料間で部位名が違うときは、図面番号、撮影場所、設備名称を付記すると、調査者が同じ場所を確認しやすくなります。

調査結果と工事内容を確認する

調査終了後の記録には、調査を行った部分、方法、材料ごとの石綿等の使用の有無、石綿なしと判断した根拠などが残ります。発注側は、記録にある部位が工事見積書や工程表の対象と一致しているかを確認します。対象外の部位が後から工事に加わる場合は、改めて確認が必要になります。

材料に関する結論と、工事をどの時点で行うかは別の情報です。工程の都合で工事範囲を分割する場合も、各区画の材料確認がどの記録に残っているかを追えるようにします。現場名だけでなく、棟、階、室、設備周辺などの位置情報をそろえます。

記録は調査終了日から3年間保存する扱いです。調査時の写真、使用した文書、資格を確認した資料などを受領資料とともに整理すると、工事の変更時にも確認しやすくなります。

発注者と元請の役割を混同しない

事前調査の実施、結果の記録、一定の場合の結果報告や届出には、それぞれ法令上の主体が定められています。発注者は、工事範囲と手元資料を正確に共有し、受け取った調査結果と工事内容の対応を確認します。役割を一つにまとめて理解すると、誰が何を確認したかが曖昧になります。

見積や依頼書には、発注者が保有する図面、改修履歴、写真、工期の希望を記載します。元請となる事業者には、調査対象と工事対象がずれないよう、変更予定の部位も伝えます。届出や結果報告が関係する可能性があれば、調査結果を前提に工事体制で確認します。

アスベスト事前調査の義務、14日前届出の確認点、アスベスト調査報告書の見方では、調査、届出、記録を分けて確認できます。関連する記事は法令・制度解説から探せます。

調査記録と工事内容を照合する確認図
調査記録と工事内容を照合する確認図

よくある質問

Q. レベル3は規制の対象外ですか
いいえ。レベル3は条文上の区分ではなく、石綿含有建材は特定建築材料として法令の対象になります。解体・改修に係る部分の材料については、事前調査で石綿等の使用の有無を確認します(石綿障害予防規則第3条、2026-09-06確認)。
Q. レベル3なら14日前届出は不要ですか
材料の呼び方だけでは判断できません。14日前届出は、吹付け石綿、石綿含有断熱材、保温材、耐火被覆材を除去する一定の作業に関する確認です。事前調査の結果と工事内容を対応させて確認します(大気汚染防止法、2026-09-06確認)。
Q. レベルの呼び方は使えませんか
実務上の説明として使えますが、法令上の判断を番号だけで済ませることはできません。材料名、使用箇所、調査結果、工事内容を確認し、特定建築材料、事前調査、届出をそれぞれ分けて整理します。

出典

本記事の出典は に内容を確認しています。

  1. 1.
    大気汚染防止法(laws.e-gov.go.jp)
  2. 2.
    石綿障害予防規則(laws.e-gov.go.jp)