国土交通省は、建設会社が社会保険加入や長時間労働の規制を逃れるために技能職の社員を個人事業主として独立させる「一人親方化」問題に対する対策に乗り出しました。
2020年6月25日に「建設業の一人親方問題に関する検討会」をスタートさせ、実効性ある対策を検討し、政策に反映する考えです。
さらに、20年夏に社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインを改定し、
下請け会社に適切な雇用契約の締結を促すとしました。
同省が2019年度に実施した調査によると、「専属的に従事する一人親方がいる」企業は全体の約3割。その3割のうち、27%の企業では、一人親方の人数が技能職の社員数よりも多かったと回答しました。
また、直近5年間で一人親方として独立した人数が増えたと答えた企業が全体の26%を占めました。
さらに従業員9人以下の企業に限定すれば、その割合は半数近く上回りました。
国交省は調査結果から一人親方化が進行していると分析。同省が実施した建設業界への聞き取りでも、
「働き方改革関連法の施工で、社会保険や割増賃金、有給休暇などの企業負担が増えるため、偽装一人親方が加速する懸念がある」といった意見が出ました。
独立した技能者の労働環境が悪化する恐れもある。偽装請負の一人親方の場合、
実態は雇用労働者でも、名目は個人事業主である為、雇用保険などの対象から除外される。病気としたときや仕事がなくなったときの保障を受けられず、生活が不安定になる傾向がある。
国土交通省が2019年度に実施した建設会社への調査の結果(資料:国土交通省)