建設現場でアスベストを吸い込み肺の病気になったと元作業員や遺族が訴えた集団訴訟のうち、神奈川県の元作業員らの裁判について、
最高裁判所はことし10月に弁論を開くことを決めました。全国の集団訴訟で最高裁が判決に向けて弁論を開くのは初めてで、判断が注目されます。
住宅などの建設現場で働いていた神奈川県の元作業員と遺族合わせて89人は、建材に含まれていたアスベストを吸い込んで肺がんなどの病気になったとして
、国や建材メーカー43社を訴え、2審の東京高等裁判所は、国と建材メーカー4社の責任を認め、合わせて3億7000万円余りの賠償を命じました。
一方で、個人で仕事を請け負っていたいわゆる「一人親方」については、「労働安全衛生法で保護される対象ではない」として訴えを退け、双方が上告していました。
これについて最高裁判所第1小法廷の深山卓也裁判長は、ことし10月22日に双方の意見を聞く弁論を開くことを決めました。
建設現場でのアスベスト被害をめぐる集団訴訟で最高裁が判決に向けて弁論を開くのはこれが初めてとなります。
第1小法廷ではほかに3件の集団訴訟も審理されていることから、統一的な判断を示す可能性があります。
被害を訴えた原告は全国で1100人を超え、地裁と高裁では国と建材メーカーに賠償を命じる判決が相次いでいて、最高裁の判断が注目されます。