建設現場でアスベストに中皮腫や肺がんなどになったとして、神奈川県の建設労働者や遺族ら64人が国と建材メーカー43社におよそ17億円の損害賠償を求めた裁判。
東京高裁は28日、国の責任と賠償を1審で認められなかった一人親方まで拡大するなどの判決を言い渡しました。
1審・横浜地裁は2017年、「アスベストを使用する際の注意喚起を怠った」などと国と一部メーカーにおよそ3億円の賠償を命じる判決を言い渡しました。
一方で、個人事業主のいわゆる「一人親方」への国の責任は認められず、2審でこれが覆るかが焦点の1つとなっていました。
東京高裁の判長は、「国はアスベストの危険性を予見できた段階から、法に基づいて保護具などを装着させる義務があった」と指摘。
一人親方についても、「他の労働者と同等であり、国は一人親方にも安全を守る法的義務がある」として原告全員への責任を認めました。
また、建材メーカー3社にも肺がんなどの疾患とアスベストの因果関係があると認め、国とメーカーであわせておよそ9億を超える支払いを命じました。