建設現場でアスベスト(石綿)を吸い込み健康被害を受けたとして、首都圏の元建設作業員や遺族ら300人余りが、
国と建材メーカー42社に計約118億円の賠償を求めて東京地裁に起こした訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(深山卓也裁判長)は14日付で国の上告を退ける決定を出しました。
2018年3月の2審・東京高裁判決のうち、規制を怠った責任を認めて国に約22億8000万円の賠償を命じた判断が確定しました。
全国9地裁に1000人以上が起こした建設石綿訴訟で、国の敗訴が確定するのは今回が初めてです。
小法廷は、国の上告について「受理すべきだとは認められない」とだけ述べました。裁判官5人全員一致の意見。
東京訴訟の1審・東京地裁判決(12年12月)は、国の責任を認めて、170人に約10億6000万円を賠償するよう命じました。
東京高裁は救済範囲を拡大し、約330人への賠償を命令しました。さらに、1審では救済対象とされなかった「一人親方」と呼ばれる個人事業主も作業員と同等に保護されるべきだとして国の賠償義務があるとしました。
メーカーの責任は健康被害との因果関係が立証されていないとして認めなかった。 原告と国の双方が上告したが、小法廷は原告の上告だけを受理し、上告審ではメーカーの責任などが審理されました。小法廷は弁論を21年2月25日に開かれます。