2006年9月以降に着工した建築物でもアスベスト事前調査は必要?
著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表
目次
2006-09-01以降に新築工事に着手した建築物等は、着工日を設計図書等の文書で確認する方法によることができます。ただし、全ての工事でアスベスト事前調査が不要になる意味ではなく、対象物や材料に応じた例外もあるため、工事範囲と文書を照合して確認します。
根拠は石綿障害予防規則第3条第1項から第3項です。規則の現行版の最終改正施行日は2026-04-01で、同条の本文と各号は2026-09-06に確認しています。確認する日付は完成日や建築確認日ではなく、新築工事の着工日です。
建築時期だけで調査不要と決めない

石綿障害予防規則第3条第1項では、事業者が建築物等の解体・改修を行うとき、あらかじめ石綿等の使用の有無を調査することが定められています。面積や請負金額ではなく、解体等の作業を行うことが確認の出発点です。
第3項第3号は、その調査方法の一つとして、新築工事の着工日を設計図書等の文書で確認する方法を置いています。工事の有無を判断する規定ではないため、「2006年以降なら何もしなくてよい」と読める見積や工程表にしないことが必要です。
| 確認する項目 | 見る資料 | 混同しやすい点 |
|---|---|---|
| 新築工事の着工日 | 設計図書等の文書 | 完成日・建築確認日ではない |
| 工事対象部分 | 図面・工事仕様書 | 建物全体の年だけで決めない |
| 材料の確認 | 文書・目視 | 例外があることを確認する |
| 調査記録 | 調査結果報告書 | 石綿なしの根拠も確認する |
新築工事の着工日を確認する
石綿障害予防規則第3条第3項第3号は、新築工事等の着工日が2006-09-01以降である解体等対象建築物等について、着工日を設計図書等の文書で確認する方法によることができると定めています。対象は、解体または改修の作業に係る部分です。所有する建物の竣工年だけでは、同号の確認に必要な情報になりません。
発注時には、建築時期を示す資料の名称、対象となる棟や区画、改修する場所を一覧にします。増築、用途変更、設備更新を行っている建物では、元の建築時期と工事対象部分の履歴が同じとは限りません。設計図書と改修履歴を併せて渡すと、調査する範囲を確認しやすくなります。
着工日を示す文書が見つかった場合も、その文書がどの建物・部位に対応するかを確かめます。図面の表題、改修対象の部屋や設備、工事範囲を見積書とそろえ、調査記録に残る対象部分と食い違わないようにします。

設計図書等の文書で確認する方法
同規則第3条第2項は、解体等対象建築物等の全ての材料について、設計図書等の文書を確認する方法と、目視により確認する方法を定めています。第3項第3号は、着工日を文書で確認する方法を認める規定です。文書があることと、目視を一律に省けることは同じではありません。
資料の中には、設計時の図面、施工図、改修図、設備図、竣工図、写真、過去の調査記録があります。発注側は、どの資料を持っているか、どの部分の資料がないかを分けて整理します。資料の不足を後から見つけるより、依頼時に共有した方が、調査範囲と工程の調整がしやすくなります。
調査結果の記録には、石綿等が使用されていないと判断した材料について、判断の根拠を記載します。文書による確認を行った場合も、どの資料を根拠にしたかが記録に残るかを確認します。結論だけでなく、対象材料と判断根拠が対応していることが大切です。
一律の除外と誤解しないために

2006-09-01という日付は、調査方法に関する条件です。対象となる建物、工事部分、材料を確認せずに、建築時期だけから事前調査の有無を結論付けることはできません。
例外となる部材と業種
石綿障害予防規則第3条第3項第4号から第8号には、非鉄金属製造業、鉄鋼業、潜水艦、化学工業の施設設備に係るガスケットやグランドパッキンについて、業種・部材ごとの基準日を用いる規定があります。第3項第3号の2006-09-01以降という条件だけで、全ての材料を同じように扱うことはできません。
発注時に特定の業種や部材に関係する工事がある場合は、設備名称、部材名、設置時期、作業する箇所を資料で整理します。一般的な建築年の情報だけでは十分でない可能性があるため、調査を行う者に図面と工事内容を示し、対象範囲を確認します。
例外の有無を発注側だけで判定するより、どの設備・材料が工事に含まれるかを明確にすることが先です。見積書では、工事の対象外とする箇所も分かるようにし、追加作業が生じた場合に改めて調査範囲を確認できるようにします。
完成日や建築確認日と混同しない
第3項第3号が示すのは新築工事の着工日です。建物の完成日、引渡日、建築確認日、改修工事の着工日を同じ日付として使うと、根拠の異なる情報が混ざります。資料を確認する際は、日付の横に文書名と対象部分を記録します。
建物全体の竣工年しか分からない場合は、設計図書等の文書が見つかるかを確認します。文書が存在しないときは、石綿障害予防規則第3条第2項により文書確認の方法はこの限りではありません。手元にある写真、改修履歴、設備台帳を調査者に渡し、現地で確認する範囲を共有します。
日付を確認する作業は、調査結果の判断根拠を残すための準備でもあります。工事担当者、施設管理者、所有者が別々に資料を持つ場合は、対象部分を示した一覧を作り、同じ資料を参照できるようにします。
発注前に整理する項目

発注前に資料を集める目的は、調査の対象を狭く決めることではなく、解体・改修する部分を正確に伝えることです。資料の有無と現地で確認する項目を分けて、調査後の記録まで対応できるようにします。
工事対象部分を確認する
撤去、切断、穿孔、更新、補修など、予定する作業を部位ごとに書き出します。壁、天井、床、設備周辺、配管の保温材・断熱材・耐火被覆材など、工事で触れる可能性がある材料を図面上で確認します。対象部分を建物全体の年と混同せず、作業に係る部分として整理します。
工事の途中で対象部分が広がることもあります。変更の可能性がある部位、現地で初めて確認できる部位、資料と状態が異なる部位を分けて記載すると、追加の確認が必要になったときに経緯を追えます。見積の対象と調査の対象を同じ範囲にそろえることが重要です。
調査者へ渡す資料には、図面の版、写真の撮影場所、設備名称、過去の改修時期が分かる情報を添えます。調査後に受け取る記録と照合できるように、依頼時の資料にも対象範囲を残します。
図面が見つからない場合の扱い
設計図書等の文書が存在しないときは、石綿障害予防規則第3条第2項により文書確認の方法はこの限りではありません。目視による確認を行い、構造上目視が困難な材料については、確認可能になった時点で事前調査を行います。
図面がなくても、工事箇所の写真、設備台帳、過去の見積書、修繕履歴があれば、依頼時の情報として役立ちます。これらは石綿の有無を発注側が決めるための資料ではなく、現地確認の範囲を共有するための資料です。資料の有無を分けて伝えます。
調査結果の記録を確認する
石綿障害予防規則第3条第7項では、調査終了日、調査を行った部分、調査方法、材料ごとの石綿等の使用の有無、石綿なしと判断した根拠などを記録することが定められています。記録は調査終了日から3年間保存します。着工日の確認に使った文書と、調査記録に示された対象材料を照合します。
アスベスト事前調査の義務では、調査・報告・届出の違いを確認できます。解体前のアスベスト調査の流れと、アスベスト調査報告書の見方も、発注前の資料整理と受領資料の確認に役立ちます。関連する記事は法令・制度解説から探せます。
よくある質問
- Q. 2006年9月以降なら調査は不要ですか
- いいえ。2006-09-01以降に新築工事に着手した建築物等では、着工日を設計図書等の文書で確認する方法によることができますが、全ての工事で調査が不要になる規定ではありません。対象部分、材料、第3項第4号から第8号の例外を確認します(石綿障害予防規則第3条、2026-09-06確認)。
- Q. いつの日付を確認しますか
- 確認するのは新築工事の着工日です。完成日、引渡日、建築確認日、改修工事の着工日を同じものとして扱わず、設計図書等の文書に記載された日付と対象部分を照合します(石綿障害予防規則第3条第3項第3号、2026-09-06確認)。
- Q. 図面がない場合はどうしますか
- 設計図書等の文書が存在しない場合は文書確認の方法はこの限りではなく、目視による確認を行います。構造上目視できない材料があれば確認可能になった時点で事前調査を行うため、写真、改修履歴、工事範囲を整理して依頼先に共有します(石綿障害予防規則第3条第2項・第9項、2026-09-06確認)。
出典
本記事の出典は に内容を確認しています。
- 1.石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号)(laws.e-gov.go.jp)