シーン・事例

空き家を解体する前のアスベスト事前調査|個人が確認すること

依
依田尚人

著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表

8分
目次

空き家の解体でも、工事対象部分の全ての材料についてアスベスト事前調査が必要となります。80㎡や100万円は調査の有無ではなく、事前調査結果の報告を判断する基準です。所有者は、解体する部分、図面の有無、相続後の名義確認、依頼先が示す調査範囲を整理します。

根拠は石綿障害予防規則第3条、大気汚染防止法、事前調査結果の報告制度です。調査、結果報告、14日前届出に関する内容は2026-09-06に確認しました。個人の所有物であっても、面積や請負金額だけから調査が不要になるとは扱いません。

空き家の解体前に確認すること

空き家解体の事前調査結果報告届出を分けて整理する図
空き家解体の事前調査結果報告届出を分けて整理する図

空き家の解体では、建物が長期間使われていないこと、相続によって資料や連絡先が分かれていることがあります。まず解体する建物・付属建物・外構のどこを工事するかを確認し、調査そのもの、結果報告、届出を別の確認事項として整理します。

確認する事項内容所有者が整理する情報
事前調査工事対象部分の材料の確認解体する建物・部位、図面の有無
結果報告一定の工事で必要となる報告面積、請負金額、工事の種類
14日前届出材料と除去作業による手続調査結果、予定する工事内容
所有関係依頼・工事内容を確認する相手名義、相続人、連絡先
調査記録調査結果と判断根拠の記録受領資料の保管場所

事前調査が必要になる工事

石綿障害予防規則第3条は、建築物等の解体または改修の作業を行う前に、石綿等の使用の有無を調査することを定めています。空き家であること、居住者がいないこと、建物が小さいことは、調査対象を決める基準ではありません。解体・改修に係る部分の材料を確認します。

建物本体のほか、工事に含める物置、車庫、塀、屋根、内装などがある場合は、工事仕様書で対象を分けます。解体する範囲が決まらないうちに調査の対象を一語で示すと、後から追加する部位との照合が難しくなります。

所有者が複数いる場合や相続の手続中の場合は、誰が工事の範囲と依頼内容を確認するかを整理します。名義、連絡先、鍵の管理者、資料の保管者が別の場合もあるため、調査日までに連絡経路を確認します。

80㎡と100万円を混同しない

80㎡と100万円は、一定の工事で事前調査結果の報告を判断する基準です。80㎡は建築物の解体工事の床面積、100万円は建築物の改修工事の請負金額を基準にするもので、いずれも事前調査が必要かどうかを分ける数字ではありません。

一定の工作物の解体・改修も、結果報告の対象となります。報告は元請となる事業者が行うため、個人の所有者が自ら報告するものとして理解せず、工事体制で誰が報告を確認するかを依頼先に確認します。

依頼前に整理する情報

空き家の解体範囲と相続名義と図面の有無を整理する図
空き家の解体範囲と相続名義と図面の有無を整理する図

空き家では、古い設計図書や改修記録が見つからないことがあります。見つからない資料を推測で補うのではなく、建物の位置、解体する範囲、手元資料、相続後の所有関係を分けて伝えます。

解体する部分と建築時期

主屋、離れ、物置、車庫、外構など、今回解体する部分を一覧にします。建物が複数ある場合は、住所だけでなく、敷地内の位置、写真、見取図で対象を分けます。建築時期が分かる資料があれば、主屋と付属建物で別に記録します。

相続した建物では、名義変更の状況、相続人の連絡先、工事内容を確認する人を整理します。所有者や相続人の間で解体する範囲の認識が異なると、調査後に工事対象が変わることがあります。依頼書に対象建物と工事範囲を明記します。

図面がない場合の確認

設計図書等の文書が存在しない場合は文書確認の方法はこの限りではなく、目視による確認を行います。図面がないことを依頼先に伝え、手元にある写真、修繕履歴、過去の見積書、設備台帳を共有します。これらは調査する部位を把握するための情報です。

壁の内側、天井裏など構造上目視できない材料は、確認可能になった時点で事前調査を行います。解体の工程で初めて見える部位があるときは、位置と確認できる段階を依頼先と工事担当者に共有します。

調査後に確認すること

空き家の調査記録結果報告届出を照合する図
空き家の調査記録結果報告届出を照合する図

調査後は、受け取った記録にある対象部分と、実際に解体する範囲を照合します。結果報告や14日前届出が関係するかは、調査自体とは別に、材料と工事内容、面積や請負金額などの条件を工事体制で確認します。

調査結果の記録

調査終了後の記録には、調査した部分、調査方法、材料ごとの石綿等の使用の有無、石綿なしと判断した根拠、調査を行った者と資格に関する事項が残ります。主屋・付属建物・外構のどの部位の記録か、解体見積の部位名と対応するかを確認します。

記録は調査終了日から3年間保存する扱いです。図面、写真、見取図、依頼書、調査記録の保管場所を、所有者または工事内容を確認する相手の間で決めます。解体範囲が変わる場合は、確認済みの部位と新たに工事する部位を分けます。

結果報告と14日前届出の違い

事前調査結果の報告は、一定規模以上の建築物の解体・改修や一定の工作物の工事で確認する手続です。14日前届出は、吹付け石綿、石綿含有断熱材、保温材、耐火被覆材を除去する一定の作業に関する手続です。どちらも事前調査の有無を決めるものではありません。

報告の対象となる建築物の解体では床面積80㎡以上、建築物の改修では請負金額100万円以上という基準を確認します。個人の所有者は面積や請負金額を見て調査を省略せず、元請となる事業者が結果報告を行うことを工事体制で確認します。

見積で確認する範囲

見積では、解体する建物・付属建物・外構の範囲、調査の対象部位、図面がない部分の現地確認、工事中に露出する部位、調査記録、結果報告の確認を分けて確認します。個人が負担する費用の比較や依頼先の選定を主題にせず、工事対象と調査範囲の対応を確認します。

相続人が複数いる場合は、調査記録を誰が受け取り、工事範囲の変更を誰が確認するかを事前に決めます。古い家屋では、主屋と物置の資料が別に保管されていることもあるため、資料の有無を建物ごとに整理します。鍵や立入りの手配も、調査対象の部位を確認するための準備として、工事日とは別に調整します。

アスベスト事前調査の義務、事前調査結果の報告基準、解体前のアスベスト調査の流れでは、調査、結果報告、工程の違いを確認できます。関連する記事は事例・ケースから探せます。

空き家の解体範囲と調査記録を照合する図
空き家の解体範囲と調査記録を照合する図

主屋と付属建物を同じ解体として扱う場合も、調査記録の対象部位と工事見積の対象を建物ごとに照合します。

空き家では、主屋、離れ、物置、車庫などの資料や鍵の管理者が異なる場合があります。所有者または相続人の間で、どの建物を解体するか、誰が調査記録を受け取るか、工事範囲が変わったときに誰が確認するかを整理します。図面が見つからない建物は、写真、見取図、改修履歴を使って、現地で確認する部位を依頼先に伝えます。調査結果と解体見積の対象を建物ごとに照合すると、工事の範囲を確認しやすくなります。

空き家を解体する工事では、主屋、離れ、物置、車庫、外構のどこを対象にするかを、見取図や写真で分けます。相続の手続中であれば、誰が工事範囲を確認し、調査記録を受け取り、鍵や資料を管理するかを整理します。古い図面や改修記録が一部しか残っていない場合は、資料がある建物とない建物を区別して依頼先へ共有します。解体範囲が変わったときは、既存の記録にある建物・部位と追加する範囲を照合します。

工事前には、主屋と付属建物のどちらを先に解体するか、調査結果を誰が受け取るかも整理します。相続人間で工事範囲の確認が必要な場合は、見取図や写真に対象建物を示し、後から追加する建物と混同しないようにします。

よくある質問

Q. 小さな空き家でも調査は必要ですか
必要です。空き家の規模や居住の有無ではなく、解体または改修に係る部分の材料について事前調査を行います。主屋だけでなく、工事に含める付属建物や外構も工事範囲として整理します。
Q. 80㎡未満なら何もしなくてよいですか
いいえ。80㎡は建築物の解体工事における事前調査結果の報告基準であり、事前調査が必要かどうかを分ける数字ではありません。調査と結果報告を分け、元請となる事業者に報告の確認をします。
Q. 個人が資格者を探すにはどうしますか
依頼先に、調査を行う者の資格区分、資格証明、どの建物・部位を調査するかを確認します。名義や相続人の確認、図面の有無、解体範囲を整理して伝えると、調査対象と記録を照合しやすくなります。

出典

本記事の出典は に内容を確認しています。

  1. 1.
    石綿障害予防規則(laws.e-gov.go.jp)
  2. 2.
    大気汚染防止法(laws.e-gov.go.jp)
  3. 3.
    事前調査結果の報告制度(ishiwata.mhlw.go.jp)