選び方・比較

工作物のアスベスト調査を依頼する前の確認項目

依
依田尚人

著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表

8分
目次

工作物の調査依頼では、設備名だけでなく、用途、設置場所、工事範囲、設計図書、着工予定日を整理し、資格区分を確認します。個別の設備が告示に掲げられるかは依頼者だけで決めず、資料と現地の状況を調査者に示して確認します。

根拠となる石綿障害予防規則、告示第276号、告示第278号は2026-09-06に確認しました。依頼書を整える目的は、調査の結論を先取りすることではなく、工事に係る部分を取り違えずに伝えることです。

依頼前にそろえる確認項目

工作物調査の依頼前に設備用途工事範囲を並べる図
工作物調査の依頼前に設備用途工事範囲を並べる図

依頼の最初に設備名だけを渡すと、調査対象が設備本体なのか、周囲の被覆材や接続部なのか、建屋部分も含むのかが曖昧になります。名称、用途、位置、工事する部位を一組にして整理し、図面と現地写真に同じ呼び方を付けます。

依頼前の項目整理する内容資料の例
設備名台帳上の名称、現地表示、用途設備台帳、銘板の写真
設置場所棟、階、室、屋外区画配置図、平面図
工事範囲撤去、改修、切断、補修する部位工事仕様書、工程表
設計図書図面の版、改修履歴、仕様設計図、施工図、竣工図
確認時期着工予定日、停止可能な時期工程表、停止計画

設備名と用途を整理する

設備名は告示の名称と一致しないことがあります。社内の略称、メーカー名、現場で使う呼び方だけでは、設備が担う機能や調査対象の部位が伝わりません。依頼書には、台帳の名称と用途を併記し、加熱、焼却、配電、貯蔵などの機能が分かる資料を添えます。

同じ設備名でも、付属配管、保温材、耐火被覆、機械室の内装など、工事で触れる箇所は異なります。設備本体と周辺部材を分け、どの部分を撤去・改修するかを図面に示します。作業しない箇所がある場合も、工事範囲から除く理由が分かるようにします。

資料に古い名称が残っているときは、現地の名称を無理に書き換えず、対応関係を記載します。台帳の設備番号、図面番号、写真の撮影位置を添えると、調査者が同一の設備を確認しやすくなります。

設置場所と工事範囲を整理する

設置場所は、工場名や建物名だけでなく、棟、階、室、屋外の区画、設備周辺の位置まで示します。複数の似た設備がある場合は、工事する設備を写真や図面の記号で区別します。対象の取り違えは、調査範囲と見積範囲のずれにつながります。

工事範囲には、撤去、更新、切断、穿孔、補修などの予定する作業を記載します。設備の停止時期、立入り可能な時間帯、仮設で見えなくなる部位も共有します。調査時に確認できない材料があり得る場合は、確認可能になる工程も伝えます。

依頼時点で工事内容が確定していない箇所は、未確定として分けます。対象を曖昧にしたまま一括して依頼するより、決まっている範囲と変更の可能性がある範囲を分ける方が、調査結果と後の工事内容を照合しやすくなります。

資格区分を確認する

工作物の告示区分と着工日を確認する依頼手順
工作物の告示区分と着工日を確認する依頼手順

資格の確認では、依頼先の肩書だけでなく、対象の設備、告示上の区分、工事の着工予定日を対応させます。工作物か建築物かが混在する場合は、同じ依頼書でも調査対象を分けて記載します。

告示の名称と設備の呼び方を分ける

告示第278号は、工作物石綿事前調査者に係る工作物を17種類に列挙しています。設備の社内名称が似ていても、告示の号に当たるかは、名称だけから確定しません。用途、構造、設置状況、工事対象部分を設計図書等で確認し、調査者に示します。

告示第276号では、第278号の第1号から第5号および第7号から第11号の工作物と、第6号および第12号から第17号の工作物で、調査できる者の区分が分かれます。依頼書には、設備名だけでなく、告示上の確認が必要な理由となる情報を載せます。

建屋の壁・天井などと設備を同時に工事する場合は、建築物の部分を工作物の名称に含めません。対象ごとに図面の範囲を分け、誰がどの材料を確認するかを、見積と調査記録で確認します。

着工日を基準に確認する

建築物の解体・改修の調査では2023-10-01以降に着工する工事、工作物の解体・改修の調査では2026-01-01以降に着工する工事について、必要な知識を有する者による調査の扱いが定められています。予定日だけでなく、実際に工事へ着手する日を工事体制で確認します。

着工予定が変わる場合は、依頼した時点の資料と変更後の工程を比べます。資格の確認を最初の見積依頼だけで終わらせず、調査を行う時期、工事を始める時期、対象範囲の変更を受け渡しの際にも確認します。

調査後まで見据えた依頼にする

図面現地確認調査記録を一つの依頼内容でつなぐ図
図面現地確認調査記録を一つの依頼内容でつなぐ図

依頼書には、現地で確認する範囲だけでなく、調査後に受け取る記録との対応も残します。資料名、対象設備、工事範囲の表現をそろえると、報告書の材料名を見積や工程表と照合しやすくなります。

図面と現地確認の進め方

設計図書等の文書で確認できる範囲と、現地で目視確認する範囲を分けます。図面がない場合や古い場合は、工事箇所の写真、設備台帳、過去の改修記録を添えます。資料は石綿の有無を依頼者が判断するためのものではなく、調査対象を共有するためのものです。

構造上目視できない材料があるときは、位置と理由、確認できる見込みの工程を記載します。確認可能になった時点で事前調査を行う扱いのため、工程表にその時期を置き、工事担当者と調査者が連絡できるようにします。

調査結果に残る内容

調査終了後の記録には、調査した部分、調査方法、材料ごとの石綿等の使用の有無、石綿なしと判断した根拠、調査を行った者と資格に関する事項が残ります。依頼時の図面や写真の部位名と、記録の対象部分が対応しているかを確認します。

記録は調査終了日から3年間保存する扱いです。工事内容が変わった場合にも確認できるよう、依頼書、見積、調査記録、工程表を同じ設備番号や図面番号で整理します。

見積で確認する条件

見積では、対象設備、調査範囲、採取・分析の可能性、現地確認の日程、報告書の内容、資格区分を確認します。材料が見えない箇所や工事変更の可能性がある箇所は、追加確認の対象になり得る情報として共有します。

特定工作物のアスベスト調査、アスベスト調査会社の選び方、解体前のアスベスト調査の流れも、依頼内容を整理する際の確認に役立ちます。関連する記事は調査の進め方から探せます。

工作物調査の依頼内容を最終確認する図
工作物調査の依頼内容を最終確認する図

依頼書に図面番号や設備番号を入れると、資料の更新や工事範囲の変更があったときに、どの情報を見直すべきかを確認できます。現地の名称と台帳上の名称が異なる場合は、両方を併記します。工事を一部だけ先に始める計画では、先行する部分と後から行う部分の調査対象を分け、同じ設備名だけで記録を読み替えません。調査の対象外とした箇所がある場合も、工事仕様書の対象外と一致しているかを確認します。

依頼内容を整理した後は、設備台帳の名称、図面の機器記号、現地写真の位置、工事仕様書の部位名が対応しているかを確認します。資料の作成年や版が異なる場合は、どの資料が現況に近いかを発注側だけで決めず、相違する箇所を調査者に伝えます。工事の途中で撤去する設備や配管が増える場合には、既存の調査記録がその部位まで含むかを確認し、追加する範囲を見積と工程表に記載します。

設備の停止日や立入りの制約がある場合は、調査日、確認できる部位、工事着手日を工程表で分けます。資料にない部位や工事後に露出する部位は、依頼書に位置を記載し、確認可能になった時点で調査する流れを共有します。

工事範囲が追加された場合は、設備名だけで済ませず、対象の位置、工事内容、確認可能な時期を図面と工程表に記録します。

よくある質問

Q. 設備名だけで依頼できますか
設備名に加えて、用途、設置場所、解体・改修する部位、工事範囲、図面や写真の有無を伝えます。名称だけでは調査対象の材料や告示との対応が分からないためです。
Q. どの資格者に頼めばよいですか
告示第278号の対象となる工作物と、告示第276号の区分を確認します。設備の名称だけで確定せず、用途、構造、工事対象部分、着工日を依頼先に示して、対象に対応する調査者かを確認します。
Q. 図面が見つからない場合はどうしますか
図面がないことを伝え、手元にある写真、設備台帳、改修履歴、工事範囲を共有します。文書が存在しない場合は目視による確認を行い、構造上見えない材料は確認可能になった時点で調査します。

出典

本記事の出典は に内容を確認しています。

  1. 1.
    石綿障害予防規則(laws.e-gov.go.jp)
  2. 2.
  3. 3.