建築物と工作物が混在するアスベスト調査|依頼前の整理
著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表
目次
建築物と工作物が混在する案件では、工事対象部分を建屋と設備に分け、着工日、設計図書、設備用途を整理して資格区分を確認します。まとめて「工場の改修」と呼ぶだけでは、どの材料を誰が調査するかを確かめられません。
石綿障害予防規則、告示第276号、告示第278号は2026-09-06に確認しました。混在案件では、建屋と設備を別の案件に分割するかどうかではなく、対象部分を明確にして調査内容と記録に対応させることが必要です。
混在案件で先に分けるもの

建屋の壁、天井、床、機械室の内装と、設備の本体、配管、付属部材は、同じ工程に含まれていても確認する情報が異なります。図面上で境界を分け、各部位に予定する作業を記載してから調査を依頼します。
| 分けて整理する対象 | 確認する情報 | 資料の例 |
|---|---|---|
| 建屋 | 棟、階、室、内装、工事部分 | 平面図、仕上表、改修図 |
| 設備 | 名称、用途、設置場所、部位 | 設備台帳、設備図、写真 |
| 工事内容 | 撤去、改修、切断、補修の範囲 | 仕様書、工程表 |
| 資格区分 | 対象と調査者の対応 | 資格証明、依頼書 |
| 確認できない部分 | 位置、理由、確認時期 | 図面、現地写真 |
建築物側の工事対象部分
建築物側では、解体または改修に係る壁、天井、床、屋根、内装、建築設備の部分を整理します。建屋全体の用途や建築年だけで範囲を決めず、今回の工事で触れる場所を図面や写真で示します。複数棟がある場合は、棟ごとに資料を分けます。
設計図書等の文書は、材料の確認に使う情報の一つです。文書にない改修、改築、増築がある場合は、過去の工事記録や現地写真も共有します。文書が存在しない部分は、ないことを記載し、目視で確認する範囲が分かるようにします。
建屋の部分と設備の部分が接する箇所は、図面上でどちらの範囲に含めるかを曖昧にしません。配管の貫通部、機械室の壁、設備周辺の保温材などは、工事で触れる範囲と材料の位置を確認します。
工作物側の設備と用途
工作物側では、設備の用途、構造、設置状況、工事対象の部位を整理します。告示第278号に掲げられる工作物かどうかは、台帳の略称だけで決めません。設備図、系統図、配置図、現地写真を用い、何のために使われる設備かを依頼先に伝えます。
同じ工場敷地にある設備でも、改修する範囲は一様ではありません。設備本体、配管、保温材、接続部、周辺の建築物部分を分け、撤去・切断・補修する箇所を工程表と照合します。停止できる日や立入り条件も、現地確認に関係する情報です。
資格区分と着工日を確認する

混在案件では、建築物の部分と特定工作物の部分について、必要な知識を有する者による調査の扱いを分けて確認します。担当者が一人か複数かにかかわらず、対象範囲と資格の対応を依頼書、見積、調査記録で追えるようにします。
建築物の資格者調査
建築物の解体・改修の工事は、2023-10-01以降の着工について、必要な知識を有する者による事前調査の扱いが定められています。建物全体ではなく、解体・改修に係る部分を明確にし、調査を行う者の資格区分を確認します。
建屋の調査範囲に設備周辺の材料が含まれる場合は、図面上の位置を明確にします。設備を工作物として扱う範囲と重複しないよう、対象材料、部位、調査者を見積書と調査記録で確認します。
特定工作物の資格者調査
告示第278号に掲げられる特定工作物の解体・改修では、2026-01-01以降の着工について、告示第276号に定める区分を確認します。第278号の第1号から第5号および第7号から第11号と、第6号および第12号から第17号では、調査できる者の区分が異なります。
設備がどの号に当たるかは、名称が似ていることだけで確定しません。用途、構造、設置場所、工事対象部分を資料で整理し、資格を示す依頼先に確認します。対象範囲が工事中に変わる場合は、追加した部分についても同じように確認します。
一つの依頼書に整理する項目

依頼書を一つにまとめる場合も、建屋と設備を同じ欄に書き込む必要はありません。対象ごとに資料と工事内容を列に分け、調査範囲、資格、見積条件、記録を対応させます。
図面と現地確認の範囲
資料一覧には、建築図、設備図、配置図、改修図、設備台帳、現地写真を分けて載せます。図面にある部位と現地の名称が違うときは、設備番号や写真番号で対応を示します。調査者が現地で確認する範囲を、建屋側と設備側で分けて確認します。
構造上目視できない材料がある場合は、位置、見えない理由、確認できる工程を記録します。工事を始めてから露出する箇所は、確認可能になった時点で事前調査を行うため、停止や連絡の方法を工程表に入れます。
記録と報告の確認
調査後の記録には、調査した部分、調査方法、材料ごとの石綿等の使用の有無、判断根拠、調査を行った者と資格に関する事項が残ります。建屋と設備が同じ報告書に記載される場合も、対象範囲を読めるように部位名と図面番号を確認します。
一定の工事では、事前調査結果の報告に関する確認が必要です。結果報告と事前調査そのものは別であるため、面積や請負金額の基準だけで調査対象を決めません。工事体制で誰が報告を行うかを確認します。
見積の条件をそろえる
見積では、建屋と設備の各範囲、調査者の資格区分、現地確認、採取・分析の可能性、報告書、納期を確認します。複数の見積を比べる場合は、設備名だけでなく、同じ図面番号と工事範囲が対象に含まれているかを確認します。
アスベスト事前調査の義務、特定工作物のアスベスト調査、工場閉鎖時のアスベスト調査計画では、混在しやすい調査範囲の確認点を整理しています。関連する記事は調査の進め方から探せます。

混在案件では、建屋側の工事が先に始まり、後から設備側の範囲が確定することもあります。対象が追加された場合は、最初の見積の名称だけで範囲を判断せず、図面、工程表、調査記録にある建屋・設備の区分を更新して照合します。
工事の対象が建屋から設備へ、または設備から建屋へ連続する場所では、境界を図面で示します。見積や記録に同じ部位名を使い、どちらの対象として確認したかを追えるようにします。
混在する工事では、見積を一つにまとめる場合でも、建屋側と設備側の図面、対象部位、調査者、現地確認の日程を対応させます。設備の周りにある壁や天井を工作物の範囲に一括して書かず、工事で触れる部位ごとに整理します。調査中に建屋側の補修範囲が追加される、あるいは設備の撤去範囲が広がるときは、どちらの資料に追加するかを明確にします。記録を受け取る際には、各区分の対象材料と工事仕様書の部位名を照合します。
建屋と設備が接する部位では、同じ工事図面に異なる名称が使われることがあります。依頼時に、建屋側の部位名、設備側の設備番号、工事する位置を対応表にし、誰がどの材料を確認するかを整理します。建築物の調査日と設備の調査日が異なる場合も、図面の対象範囲を分けて管理します。工事中に壁や天井の範囲、設備の撤去範囲が追加されたときは、既存の記録の対象と新しい対象を照合し、見積の範囲も確認します。
建屋の内装と設備周辺の材料を同じ日に確認する場合も、図面上の対象範囲を分けます。設備の停止や立入りの条件によって現地確認の順番が変わるときは、どの材料をいつ確認したかを記録と工程表で照合します。
工事対象を変更する場合には、建屋・設備のどちらの範囲に加わるかを図面で確認し、見積、工程表、調査記録の表現をそろえます。
よくある質問
- Q. 建屋と設備を一つの見積にできますか
- 一つの見積にできますが、建屋と設備の工事対象部分、調査範囲、資格区分を分けて確認します。同じ工場名だけでまとめず、図面と見積の対象が対応しているかを確かめます。
- Q. 2023年と2026年のどちらを見ますか
- 建築物の解体・改修では2023-10-01以降、特定工作物の解体・改修では2026-01-01以降の着工について、対象に応じた資格者調査の扱いを確認します。混在する場合は、工事対象ごとに分けます。
- Q. 設備が工作物に当たるか誰が決めますか
- 設備名だけで発注者が確定せず、用途、構造、設置場所、工事対象部分を図面等で整理して、資格を示す依頼先に確認します。告示の号と設備の呼び方が一致しない場合も、資料を共有します。
出典
本記事の出典は に内容を確認しています。
- 1.石綿障害予防規則(laws.e-gov.go.jp)
- 2.石綿障害予防規則に基づく事前調査の実施に必要な知識を有する者(mhlw.go.jp)
- 3.工作物石綿事前調査者に係る工作物の範囲(mhlw.go.jp)