煙突のアスベスト調査は誰に頼む?資格区分と確認点
著者・監修: 依田尚人(YDAIコンサルティング株式会社 代表)
煙突のアスベスト調査は誰に頼む?資格区分と確認点
煙突の事前調査は、告示上の区分と建築設備に当たるかどうかを確認して依頼先の資格を見ます。煙突という名称だけでは、特定工作物として扱うか、建築物に設ける排煙設備等の建築設備として除かれるかを決められません。設置状況と解体・改修する範囲を整理したうえで、調査を行う者の区分を確認します。
石綿障害予防規則第3条第4項は、事前調査を厚生労働大臣が定める者に行わせることを定めます。同規則の現行版の最終改正施行日は2026年4月1日で、条文と告示の確認日は2026年9月6日です。
煙突の事前調査で確認する前提(早見表)

令和2年厚生労働省告示第278号は、石綿障害予防規則第3条第4項ただし書に基づき、特定工作物の名称を号ごとに定めています。同告示第6号は煙突を掲げる一方、建築物に設ける排煙設備等の建築設備を除くと明記しています。
| 確認する点 | 確認する内容 | 依頼前にそろえる資料 |
|---|---|---|
| 告示上の名称 | 令和2年厚生労働省告示第278号第6号の煙突 | 設備名称と設置場所 |
| 除外規定 | 建築物に設ける排煙設備等の建築設備か | 図面、設置状況、工事範囲 |
| 調査者区分 | 令和2年厚生労働省告示第276号第5号 | 調査者名と資格証明書の写し |
告示上の煙突と建築設備に関する除外規定
令和2年厚生労働省告示第278号第6号が定めるのは、特定工作物の名称としての煙突です。同号には、建築物に設ける排煙設備等の建築設備を除くという規定があります(令和2年厚生労働省告示第278号、2026年9月6日確認)。この第6号は特定工作物の名称を定める告示の号であり、調査を行う者の区分を定める告示の号とは別に読みます。
個別の煙突が建築設備に当たるか、特定工作物に当たるかは、名称や外観だけで断定しません。図面、設置位置、解体・改修する部分を確認し、判断が必要な場合は所轄の労働基準監督署などに確認します。
工事範囲と設置状況を依頼前に整理する
依頼時には、煙突だけを対象にするのか、建屋の改修や周辺設備の工事も含むのかを分けて伝えます。設置時の図面、増設・改修の履歴、接続する設備、着工予定をそろえると、調査対象と目視する範囲を共有しやすくなります。事前調査は、解体等対象建築物等の全ての材料について、設計図書等の文書と目視により確認する方法が基本です(石綿障害予防規則第3条第1項、第2項、同規則、2026年9月6日確認)。
目視が難しい部分があれば、確認が可能になった時点で調査を行う規定もあります(石綿障害予防規則第3条第9項)。解体の順序と調査の範囲を見積に記載してもらい、施工開始後に確認すべき部分が残る可能性も共有します。
依頼先の資格区分を確認する

資格区分は、特定工作物の名称を定める令和2年厚生労働省告示第278号と、事前調査を行う者の区分を定める令和2年厚生労働省告示第276号を対にして確認します。工作物の資格者調査は2026年1月1日以降に着工する工事から施行済みであり、工事対象に応じた区分を見ます。
令和2年厚生労働省告示第276号第5号で確認する一般・特定建築物石綿含有建材調査者等
令和2年厚生労働省告示第276号第5号は、令和2年厚生労働省告示第278号第6号及び第12号から第17号までの特定工作物について、事前調査を行う者の区分を定めています。第5号に掲げる者は、一般建築物石綿含有建材調査者、特定建築物石綿含有建材調査者、又は工作物石綿事前調査者です(令和2年厚生労働省告示第276号、2026年9月6日確認)。
ここでいう第5号は、調査を行う者の区分を定める令和2年厚生労働省告示第276号の第5号です。特定工作物の名称を定める令和2年厚生労働省告示第278号の第6号と混同せず、依頼する工事範囲と照合します。特定工作物17種と資格区分 では、二つの告示の役割を分けて説明しています。
見積・記録で確認する調査者名と資格証明
見積では、誰が事前調査を行う予定か、工事対象に対してどの区分を確認するかを記載してもらいます。石綿障害予防規則第3条第7項の記録には、事前調査を行った者の氏名と、資格者であることを証明する書類の写しが含まれます(石綿障害予防規則、2026年9月6日確認)。発注者は、契約前の説明と調査後の記録で、氏名と資格証明の確認箇所を対応させます。
依頼先の確認では、資格名称だけを聞くのではなく、調査対象、調査者名、記録に残る書類を一組で確認します。アスベスト調査会社を選ぶ確認点 も、発注前に照合する事項を整理しています。
調査から工事までに役割を確認する

調査、事前調査結果の報告、届出は、対象・主体・時期が同じではありません。煙突を含む工事では、資格区分の確認に加え、工事の規模や建材の状況に応じて必要な手続を別々に確認します。
事前調査、報告、届出の要否を別々に確認する
石綿障害予防規則第4条の2の事前調査結果の報告と、大気汚染防止法第18条の17の届出は、いずれも事前調査そのものとは別の手続です。報告は工事の規模・対象で、届出は届出対象特定工事に該当するかで確認するため、煙突という名称だけから要否を決めません。根拠は 石綿障害予防規則 と 大気汚染防止法 で、大気汚染防止法の現行版の最終改正施行日は2026年7月1日、確認日は2026年9月6日です。
届出対象特定工事では、発注者または自主施工者が作業開始日の14日前までに届け出ます。届出主体と調査・説明の役割の違いは、14日前届出の発注者側の役割 で確認できます。
境界を急いで決めない確認順

煙突の調査では、設備名称から資格区分や手続を先に決めないことが重要です。まず告示の正式名称と除外規定を確認し、次に設置状況と工事範囲を資料で整理し、個別の該当性が残る場合に所轄窓口へ確認します。
告示の正式名称、除外規定、個別確認を分ける
第1段階では、令和2年厚生労働省告示第278号第6号の「煙突」と「建築物に設ける排煙設備等の建築設備を除く」という除外規定を確認します。第2段階では、その煙突が置かれた場所、建物との関係、工事する部分を図面などで整理します。第3段階で、令和2年厚生労働省告示第276号第5号の調査者区分と照合し、判断が必要な点を所轄窓口へ確認します。
プラントなど設備の工事範囲を整理する場合は、プラント設備の事前調査 も併せて確認します。個別設備の該当性は、一般解説だけで結論づけず、対象資料に基づいて確認します。
よくある質問

煙突は、特定工作物の名称を定める告示と、調査を行う者の区分を定める告示を分けて確認します。工事の対象範囲を資料で整理してから、依頼先の資格表示を照合します。
建物に付いた煙突も同じ扱いか
令和2年厚生労働省告示第278号第6号の煙突には、建築物に設ける排煙設備等の建築設備を除くという規定があります。設置状況と工事範囲を確認し、個別の該当性は所轄窓口などで確認します(令和2年厚生労働省告示第278号、2026年9月6日確認)。名称だけで一律の扱いにしません。
工作物石綿事前調査者だけが対応できるか
令和2年厚生労働省告示第276号第5号では、令和2年厚生労働省告示第278号第6号の特定工作物について、一般建築物石綿含有建材調査者、特定建築物石綿含有建材調査者又は工作物石綿事前調査者の区分を定めています(令和2年厚生労働省告示第276号、2026年9月6日確認)。第276号は調査を行う者、第278号は特定工作物の名称を定める告示です。
依頼前に何を伝えるか
煙突の設置状況、工事範囲、図面、改修履歴、着工予定を整理します。事前調査では設計図書等と目視による確認が定められています(石綿障害予防規則第3条第2項、同規則、2026年9月6日確認)。調査対象に含める部分と、目視が難しい部分の扱いも共有します。
まとめ
煙突の事前調査では、令和2年厚生労働省告示第278号第6号の除外規定と、令和2年厚生労働省告示第276号第5号の調査者区分を分けて確認します。設置状況と工事範囲を資料で整理し、個別の該当性を急いで決めずに依頼先の資格・記録を照合することが大切です。
次に読む記事として、法令・制度解説カテゴリの一覧、特定工作物17種と資格区分、アスベスト調査会社を選ぶ確認点、14日前届出の発注者側の役割、プラント設備の事前調査 を確認してください。
出典
- 石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号)(laws.e-gov.go.jp)
- 令和2年厚生労働省告示第278号(mhlw.go.jp)
- 令和2年厚生労働省告示第276号(mhlw.go.jp)
- 大気汚染防止法(昭和43年法律第97号)(laws.e-gov.go.jp)
著者・監修
依田尚人YDAIコンサルティング株式会社 代表
依田尚人は YDAIコンサルティング株式会社 代表。石綿障害予防規則の事前調査義務・資格者制度・調査費用の構造について、e-Gov・厚生労働省等の公開情報を一次ソースまで確認する工程を標準として、本サイトの記事を設計・監修しています。
asbestos-hikaku.comは、YDAIコンサルティング株式会社が運営する情報メディアです。掲載情報の収録基準・出典の考え方は情報の収録基準と運営方針をご覧ください。
掲載内容に誤りや古い情報を見つけられた場合は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。内容を確認のうえ対応します。


