法令・制度解説

鋼製船舶のアスベスト事前調査報告|20トン基準の確認

依
依田尚人

著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表

9分
目次

総トン数20トン以上の鋼製船舶では、解体・改修に伴うアスベスト事前調査結果の報告を確認します。石綿障害予防規則第4条の2第1項4号は、総トン数20トン以上の船舶の解体工事または改修工事を報告対象として示しています。

「船舶の工事では建築物と同じ80平方メートルを使うのか」「改修なら報告と関係しないのか」と迷うことがあります。鋼製船舶は、建築物の面積や特定工作物の請負代金とは別に、総トン数と工事の種類を確認します。

この記事では、鋼製船舶に関する報告の確認軸と、事前調査でそろえる資料を説明します。個々の船舶の該当性や、船舶固有の施工方法は扱いません。

本記事で分かること

  • 鋼製船舶で確認する総トン数20トンの基準
  • 解体・改修と事前調査を分ける考え方
  • 船舶情報と工事範囲を記録へ結び付ける方法

結論:鋼製船舶は総トン数20トン以上で報告を確認する(早見表)

船舶の報告は、総トン数と鋼製かどうかを起点に確認します。 事前調査、報告、届出を分ける全体の順序は、アスベスト事前調査の義務と手続で確認できます。船舶の工事では、建築物・工作物の基準を当てはめず、船舶の資料を基に確認します。

鋼製船舶の総トン数と解体・改修を確認する早見図
鋼製船舶の総トン数と解体・改修を確認する早見図
確認する条件船舶で見る内容他の対象と分ける点
対象物鋼製船舶か建築物・工作物と区別する
規模総トン数20トン以上か床面積・請負代金を使わない
工事の種類解体工事または改修工事か改修だけに限定しない

鋼製船舶という対象を確認する

石綿障害予防規則第3条第1項は、鋼製の船舶を解体または改修する作業を事前調査の対象に含めています。報告を確認する前に、対象が鋼製船舶であること、どの部分に解体等の作業が及ぶかを資料で整理します。

船名だけでなく、総トン数が分かる資料、船舶の構造、工事の範囲を確認します。船舶全体を扱うのか一部を改修するのかによっても、調査対象となる部分を具体化する必要があります。

総トン数20トンの基準を確認する

石綿障害予防規則第4条の2第1項4号では、総トン数20トン以上の船舶について、解体工事または改修工事を報告対象として示しています。総トン数は、建築物の床面積や請負代金に置き換えません。

総トン数の資料が不明確な場合は、数値だけを口頭で確認せず、船舶に関する登録資料など、根拠となる書面を確認します。工事範囲の資料と同じ案件単位で管理すると、確認の経緯を追いやすくなります。

総トン数の基準は、船舶について報告対象を確認するための条件です。石綿の使用の有無を調べる事前調査の対象範囲は、実際に解体または改修する部分と対応させて別に整理します。

船舶の事前調査を制度上で読む

船舶には、建築物・工作物と別に確認方法が置かれています。 事前調査を省くために総トン数を使うのではなく、調査の対象と報告の規模基準を別の段階で確認します。

鋼製船舶の事前調査と報告条件を分けた図
鋼製船舶の事前調査と報告条件を分けた図
確認の段階見る内容参照する資料
事前調査解体等の作業に係る部分の材料図面・履歴・現況情報
調査方法文書・目視などの確認方法設計図書等・船舶資料
報告確認総トン数と工事の種類総トン数の分かる書面・工程表

解体または改修の工事を確認する

船舶については、解体工事だけでなく改修工事も報告の確認対象です。工事の表題が保守、更新、補修などとなっていても、実際にどの部分を解体・改修するかを確認します。

工事範囲表には、船内の対象区画、設備・部材の名称、予定する作業を記載します。作業に係る部分を明らかにすることで、調査の対象と報告の確認を結び付けられます。

有害物質一覧表の確認方法を知る

石綿障害予防規則第3条第3項には、有害物質一覧表確認証書の交付を受けている船舶について、有害物質一覧表を確認する方法が示されています。これは船舶の事前調査で確認方法を整理するための規定です。

一覧表があることだけで、今回の工事範囲との照合を省略しません。どの資料を確認し、どの部分の材料に対応させたかを、調査記録で追える状態にします。

文書確認の例外を読み分ける

事前調査では、設計図書等の文書と目視による確認が基本です。船舶には有害物質一覧表を確認する方法が示されていますが、文書の種類ごとに確認する対象や根拠を分けます。

文書があるからといって、船舶の解体・改修に係る部分を抽象的に扱わないことが重要です。図面、一覧表、工事範囲表を対応させ、どの資料を用いたかを残します。

報告前にそろえる船舶情報

船舶情報と工事内容を対応させると、報告条件を確認できます。 総トン数だけを単独で確認するより、対象船舶、工事範囲、調査結果を同じ資料の束で追える状態にします。

総トン数・工事範囲・調査記録をそろえる船舶情報の図
総トン数・工事範囲・調査記録をそろえる船舶情報の図
情報確認する項目使う場面
船舶情報鋼製か、総トン数報告基準の確認
工事情報解体・改修する範囲、着工日調査と工程の確認
調査記録材料、方法、結果、調査者結果の照合

総トン数の資料を確認する

総トン数は、船舶に関する登録資料などで確認します。資料の数値を転記する際は、対象船舶がどれか、いつ確認したか、工事範囲とどのように対応するかを分かるようにします。

20トンという数字だけを他の工事の一覧に混ぜると、建築物の面積基準と取り違えやすくなります。船舶用の欄を設け、総トン数として記録します。

工事対象部分を整理する

船体全体ではなく、今回の工事で解体・改修する区画や部材を整理します。図面が不足している場合は、現況写真や保有する履歴資料を添え、不明な範囲を明記します。

工事範囲が追加されたときは、追加部分が調査対象に含まれるかを確認します。総トン数の基準と、材料ごとの事前調査を一つの判断として混ぜないようにします。

調査結果の記録を確認する

事前調査を行った後は、調査した部分、方法、材料ごとの結果、調査を行った者の情報を記録で確認します。船舶でも、工事範囲と記録の対象が対応しているかを見ることが重要です。

記録の項目を確認するときは、アスベスト調査報告書の見方を参照してください。報告対象の確認と、記録の確認を別の手順として進めます。

他の対象と混同しないための整理

面積・請負代金・総トン数は、それぞれの対象で別に使います。 同じ工事管理表に建築物、工作物、船舶が並ぶ場合は、確認基準の列を分けます。

建築物・特定工作物・鋼製船舶の基準を分ける比較図
建築物・特定工作物・鋼製船舶の基準を分ける比較図
対象報告を確認する基準工事の種類
建築物の解体工事対象部分の床面積80平方メートル以上解体
特定工作物請負代金100万円以上解体・改修
鋼製船舶総トン数20トン以上解体・改修

建築物解体との違いを見る

建築物の解体では、当該工事に係る部分の床面積の合計80平方メートル以上を確認します。船舶の報告では、床面積でなく総トン数20トン以上という条件を確認します。

工事対象を「解体」とだけ書くと、どの基準を使うか分かりません。対象物の種類を先に記載し、建築物と船舶の欄を分けて確認します。

特定工作物との違いを見る

特定工作物の解体・改修では、請負代金100万円以上を確認します。鋼製船舶では総トン数を確認するため、設備工事の契約金額を船舶の基準に使うものではありません。

工程が一体であっても、対象が異なれば確認する資料も異なります。解体前のアスベスト調査の流れを参照し、調査、報告、届出の順番を工程表に分けてください。

設備工事の契約金額と鋼製船舶の報告基準を分ける図
設備工事の契約金額と鋼製船舶の報告基準を分ける図

船舶の資料を整理するときは、総トン数が分かる資料、鋼製かどうかを確認できる資料、今回の解体・改修の範囲を示す資料を対応させます。船名だけを伝えるのではなく、確認に使った資料と対象範囲を案件の記録に残すことが大切です。

工事の途中で対象範囲が変わる場合は、調査結果や報告の要否を見直す必要がないかを工程資料と一緒に確認します。建築物や特定工作物の基準を混ぜず、船舶に関する情報として整理してください。

石綿障害予防規則第3条と第4条の2を基に、2026年9月6日に確認しました。鋼製船舶の記録では、総トン数、工事の種類、調査した部分を同じ案件資料で追えるようにすることが重要です。

まとめ

鋼製船舶のアスベスト事前調査結果の報告では、総トン数20トン以上か、解体・改修のどちらかを確認します。船舶情報、工事範囲、調査記録を対応させ、建築物・特定工作物の基準と混同しないことが重要です。

事前調査と報告の流れに関する次の確認事項は、法令・制度解説の記事一覧から確認できます。

よくある質問

Q. 鋼製船舶の報告は何トンから確認しますか
石綿障害予防規則第4条の2第1項4号では、総トン数20トン以上の船舶の解体工事または改修工事について報告を確認します。建築物の床面積や特定工作物の請負代金ではなく、船舶に関する資料で総トン数を確認します。
Q. 船舶の改修も報告の対象になりますか
鋼製船舶では、解体工事だけでなく改修工事も、総トン数20トン以上の条件と合わせて報告対象を確認します。工事の名称だけで決めず、実際にどの区画・部材を解体または改修するかを範囲表で整理します。
Q. 船舶の事前調査では何の資料を確認しますか
総トン数が分かる書面、船舶の図面、工事範囲表、保有する履歴資料を確認します。有害物質一覧表確認証書の交付を受けている船舶では、有害物質一覧表を確認する方法も示されています。資料と今回の工事対象を対応させて記録に残します。

出典

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