特定工作物のアスベスト報告|解体・改修と100万円の判定
著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表
目次
特定工作物の解体・改修では、工事の種類と請負代金を組み合わせてアスベスト事前調査結果の報告を確認します。石綿障害予防規則第4条の2第1項3号は、特定工作物の解体工事または改修工事で、請負代金の額が100万円以上であるものを対象として示しています。
「設備工事の報告は改修だけを確認すればよいのか」「特定工作物という名称がどこまでを指すのか」と迷うことがあります。建築物の解体に使う面積基準と、特定工作物の請負代金基準を同じものとして扱わないことが必要です。
この記事では、特定工作物の報告で確認する解体・改修・請負代金の関係を整理します。個別設備が特定工作物に該当するかの判断や、個別案件の報告要否は扱いません。
本記事で分かること
- 特定工作物の解体・改修で確認する報告基準
- 告示278号の名称と除外規定の読み方
- 元請・発注者が分けて確認する書面
結論:特定工作物の解体・改修は100万円以上で報告を確認する(早見表)
特定工作物では、工事の種類と請負代金を組み合わせて確認します。 報告対象の全体像は、アスベスト事前調査結果の報告対象で確認できます。特定工作物を扱う場合は、建築物の解体に使う床面積の基準と混同しないようにします。

| 確認する事項 | 特定工作物で見る内容 | 混同しない点 |
|---|---|---|
| 対象物 | 告示278号の特定工作物 | 一般的な設備名だけで決めない |
| 工事の種類 | 解体工事または改修工事 | 改修だけに限らない |
| 規模の確認 | 請負代金100万円以上 | 建築物解体の80平方メートルとは別 |
解体工事の条件を確認する
石綿障害予防規則第4条の2第1項3号は、特定工作物の解体工事を報告対象の確認に含めています。設備の更新や撤去を「改修ではないから対象外」と決めず、解体工事に当たるかを工事内容から確認します。
対象が特定工作物かどうかは、告示278号の名称と除外規定を照合します。設備の通称だけでなく、設置場所、構造、工事に係る部分を資料に残して、調査側と確認できる状態にします。
改修工事の条件を確認する
特定工作物の改修工事も、請負代金100万円以上の基準を確認します。補修、改造、部分更新などの表現にかかわらず、何を改修するかを範囲表に記載し、工事区分を確認します。
請負代金の基準は、報告を確認するための条件です。事前調査の要否を金額だけで決めず、解体・改修に係る部分の材料を調査することと、報告の規模要件を別の段階で確認します。
特定工作物を報告制度の中で読む
特定工作物は、告示上の17種と除外規定を確認して整理します。 「工作物」という広い言葉と、石綿則上の特定工作物は同じ範囲ではありません。

| 確認対象 | 告示278号で見る点 | 報告準備へのつなぎ方 |
|---|---|---|
| 配管設備・煙突 | 建築設備を除く条件 | 設置場所・構造を確認 |
| 貯蔵・発電設備 | 穀物用、太陽光・風力の除外 | 設備台帳を確認 |
| 鉄道関連・昇降路の囲い | 号番号と括弧書き | 図面・工事範囲を確認 |
特定工作物の名称を確認する
告示278号には、反応槽、加熱炉、ボイラー及び圧力容器、配管設備、焼却設備、煙突、貯蔵設備、発電設備、変電設備、配電設備、送電設備など17種が示されています。名称を一覧で見るだけでなく、今回の工事対象に対応する情報を取り出します。
特定工作物17種のアスベスト事前調査では、17種と除外規定を詳しく整理しています。報告の確認では、個別設備の結論を急がず、告示と照合する資料をそろえることを優先します。
除外規定を落とさない
配管設備には建築物に設ける給水設備、排水設備、換気設備、暖房設備、冷房設備、排煙設備等の建築設備を除く条件があります。煙突、貯蔵設備、発電設備、観光用エレベーターの昇降路の囲いにも、それぞれ除外規定があります。
除外規定を省くと、設備名称が似ているものまで特定工作物として扱ってしまうおそれがあります。設備台帳や図面に、名称だけでなく設置場所や用途を残します。
個別設備の該当性を断定しない
同じように見える設備でも、建築設備か工作物か、告示の除外に当たるかは個別の事実関係で変わります。記事の一般説明だけで「この設備は特定工作物」と断定しないことが必要です。
発注者は、設備名称、設置場所、工事範囲、図面を調査側へ共有し、必要に応じて所管窓口へ確認できるようにします。確認に必要な資料をそろえることが、報告の準備にもつながります。
請負代金を使う報告判定
請負代金の基準は税込100万円以上として確認します。 厚生労働省の報告システム案内では、請負金額が税込100万円以上と示されています。金額の比較ではなく、報告要否を確認するための法定基準として扱います。

| 工事情報 | 確認する内容 | 資料 |
|---|---|---|
| 対象工作物 | 告示278号との照合 | 設備台帳・図面 |
| 工事区分 | 解体か改修か | 発注書・工程表 |
| 請負代金 | 税込100万円以上か | 契約書・変更資料 |
100万円以上の表現を確認する
法令上の基準は請負代金100万円以上です。「100万円を超える」と書くと、100万円ちょうどの場合を除くように読めるため、基準の表現を変えません。
請負代金を確認する際は、対象工作物と工事区分が分かる契約資料を一緒に見ます。金額だけが記された資料では、何の工事について基準を確認したのかを追いにくくなります。
特定工作物の対象名称と解体・改修の区分を契約資料で特定してから、請負代金の基準に対応させます。
分割契約を別に確認する
同一の事業者が二つ以上の契約に分割して請け負う場合は、一の契約で請け負ったものとみなして判定します。契約が複数あるときは、同じ事業者が請け負う範囲と各契約の内容を対応させます。
分割契約の合算を確認する手順は、アスベスト工事を分割契約した場合の報告で確認できます。契約書の数だけで、基準の確認を分けないことが重要です。
建築物解体の面積基準と分ける
建築物の解体工事では、当該工事に係る部分の床面積の合計80平方メートル以上を確認します。特定工作物の解体・改修で用いる請負代金100万円以上とは、対象も判断に使う情報も異なります。
建屋と設備を同じ工事で扱う場合は、建築物部分と工作物部分の資料を分けます。面積と請負代金を一つの欄にまとめず、それぞれがどの工事区分に対応するかを明記します。
報告に必要な役割を整理する
元請が関係請負人分をまとめる制度を確認します。 特定工作物の工事であっても、報告主体は工事の請負関係から確認します。

| 立場 | 確認する役割 | 共有する情報 |
|---|---|---|
| 元請 | 関係請負人分を含めて報告を確認 | 対象・工事区分・契約情報 |
| 関係請負人 | 担当範囲を共有 | 作業範囲・調査情報 |
| 発注者 | 工事資料を提供し書面説明を確認 | 図面・履歴・説明書面 |
元請の報告を確認する
工事の一部を請負人に請け負わせている場合は、最も先次の請負契約における注文者である元請が、関係請負人分をまとめて報告します。対象工作物の情報と契約資料が分散しないよう、元請へ共有します。
下請が調査に関わる場合でも、誰が工事全体を報告するかは請負関係で確認します。調査を行った者、工事を請け負う者、報告主体を同じ言葉で混ぜないようにします。
発注者への説明を確認する
大気汚染防止法では、元請業者が調査結果を発注者に書面を交付して説明することが定められています。発注者は、対象工作物の情報、調査結果、工事範囲が、依頼した内容と対応しているかを確認します。
書面説明と事前調査結果の報告は同じ手続ではありません。説明を受ける側と報告を行う側を分け、必要な書類を工程の中で確認します。

特定工作物に当たるかを確認する資料は、設備の呼び名だけでなく、配置図、設備台帳、工事範囲表などを組み合わせます。建築物の工事と同じ現場にある場合も、対象物を一つの区分にまとめず、どの設備を対象として確認したかを残します。
報告の判断では、工作物の種類、工事内容、調査結果、報告主体を順番に整理します。判断に使った資料の名称と確認日を記録しておくと、社内での説明や工事変更時の見直しに役立ちます。
まとめ
特定工作物のアスベスト報告では、解体・改修の両方について、請負代金100万円以上の基準を確認します。対象工作物、工事区分、請負代金、請負関係を分けて整理し、元請が報告の準備を確認できる状態にします。
特定工作物の報告に関する次の確認事項は、法令・制度解説の記事一覧から確認できます。
よくある質問
- Q. 特定工作物の改修だけが報告対象ですか
- 特定工作物では、石綿障害予防規則第4条の2第1項3号により、解体工事または改修工事の両方について、請負代金100万円以上の基準を確認します。改修だけに限らず、工事区分を資料で確認します。
- Q. 特定工作物の報告は請負代金いくらからですか
- 特定工作物の解体・改修では、請負代金100万円以上を報告対象の基準として確認します。金額だけではなく、対象が告示278号の特定工作物に当たるか、工事が解体・改修のどちらか、分割契約がないかも併せて確認します。
- Q. 設備が特定工作物か迷う場合はどうしますか
- 告示278号の対象名称と括弧書きの除外規定、設備の設置場所、図面、工事範囲を確認します。設備名が似ているだけで決めず、個別の該当性に迷う場合は、所管の労働基準監督署などへ確認できる資料を整えます。
出典
本記事の出典は に内容を確認しています。
- 1.石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号)(laws.e-gov.go.jp)
- 2.石綿障害予防規則第三条第四項ただし書の規定に基づき厚生労働大臣が定める工作物(mhlw.go.jp)
- 3.厚生労働省 石綿事前調査結果報告システム(ishiwata.mhlw.go.jp)