法令・制度解説

部分解体のアスベスト報告|80平方メートルは工事対象部分で判定

依
依田尚人

著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表

9分
目次

工事対象部分の床面積で考えることが、部分解体のアスベスト事前調査結果の報告を確認する出発点です。建築物の解体工事では、石綿障害予防規則第4条の2第1項1号により、当該工事に係る部分の床面積の合計が80平方メートル以上かを確認します。

「建物全体は大きいが、今回壊すのは一部だけの場合、どの面積を見るのか」と迷うことがあります。延べ面積だけで判断すると、実際に解体する範囲と報告の判定条件を混同します。

この記事では、部分解体における80平方メートルの確認対象と、事前調査義務・報告基準を分ける考え方を説明します。個別工事の面積計算や報告要否の決定は扱いません。

本記事で分かること

  • 80平方メートルで数える床面積の範囲
  • 小規模工事でも事前調査を確認する理由
  • 図面と工事範囲を使った情報整理の方法

結論:部分解体の80平方メートルは工事対象部分の床面積で確認する(早見表)

面積判定は、建物全体ではなく解体する部分を起点にします。 報告対象となる工事全体の基準は、アスベスト事前調査結果の報告対象で確認できます。事前調査そのものが必要となる工事の範囲は、アスベスト事前調査の義務と手続で確認してください。部分解体では、今回の工事に係る部分を図面や範囲表で明らかにしてから床面積を確認します。

部分解体の対象範囲と床面積80平方メートルを示す早見図
部分解体の対象範囲と床面積80平方メートルを示す早見図
確認する対象面積の見方混同しない点
建物全体延べ面積などの建物情報報告の面積基準そのものではない
部分解体の範囲当該工事に係る部分の床面積の合計解体する場所を図面で特定する
改修工事面積とは別の基準を確認解体の80平方メートルと同じ表にしない

工事対象部分の床面積を確認する

石綿障害予防規則第4条の2第1項1号は、建築物の解体工事について、当該工事に係る部分の床面積の合計が80平方メートル以上であるものを示しています。部分解体では、どこを解体するのかを先に特定します。

例えば一棟の一部だけを解体する場合、建物全体の規模ではなく、今回の工事範囲を図面で確認します。床面積の算定方法に迷うときは、対象範囲を明確にしたうえで元請や所管窓口へ確認できる資料をそろえます。

建物全体の延べ面積と分ける

延べ面積は建物全体を把握する情報として役立つ一方、部分解体の報告基準をそのまま表すものではありません。「延べ面積が80平方メートル以上」と言い換えると、条文が示す工事対象部分という条件が抜けます。

面積の数字だけを独立させず、工事に係る部分の床面積の合計という表現と一緒に確認します。予定外の範囲へ工事が広がる場合は、対象範囲と面積を改めて確認します。

事前調査の義務と報告基準を分ける

小規模であっても調査義務と報告基準は別に確認します。 80平方メートルは、解体工事における報告の線引きです。事前調査そのものの要否を面積だけで決めません。

事前調査義務と80平方メートルの報告基準を分けた図
事前調査義務と80平方メートルの報告基準を分けた図
手続確認する条件確認する時点
事前調査解体・改修に係る部分の材料工事前
解体工事の報告工事対象部分の床面積の合計が80平方メートル以上調査後に報告要否を確認
改修工事の報告請負代金の基準解体の面積基準と分けて確認

全ての解体・改修で行う調査

石綿障害予防規則第3条第1項では、事業者が建築物、工作物、鋼製船舶の解体・改修を行うとき、あらかじめ石綿等の使用の有無を調査することが示されています。この規定に80平方メートルという規模要件はありません。

部分解体であっても、解体等の作業に係る部分を調査対象として確認します。80平方メートル未満であれば調査が不要になるという意味ではないため、調査と報告を順番に分けます。

解体工事の報告基準

建築物の解体工事では、当該工事に係る部分の床面積の合計が80平方メートル以上かを報告の基準として確認します。報告の時期は、石綿則側ではあらかじめとされ、元請が関係請負人分をまとめて報告する規定があります。

報告主体を確認するときは、元請と下請の役割を参照してください。面積を確認する人と、報告を行う主体を同じものと決めつけないようにします。

改修工事の基準と混同しない

建築物の改修工事では、請負代金100万円以上という基準を確認します。解体工事の80平方メートルと、改修工事の請負代金を同じ基準として扱うと、対象工事の種類を取り違えます。

部分的な工事であっても、解体なのか改修なのか、対象物は建築物か特定工作物かを工事資料で分けます。面積だけを見て工事区分を省略しないことが大切です。

部分工事でそろえる面積資料

図面と工事範囲を対応させると、面積の確認根拠が残ります。 床面積を一つの数字で受け取るより、その数字がどの解体範囲に対応するかを確認します。

部分解体の図面・範囲表・床面積を照合する図
部分解体の図面・範囲表・床面積を照合する図
資料見る項目使う場面
平面図・配置図解体する区画・階・部位工事対象部分の特定
工事範囲表撤去する範囲・作業内容図面との照合
面積の整理表部分ごとの床面積報告基準の確認

解体する範囲を図面で示す

図面には、今回解体する区画、階、室、付属部分を分かるように示します。一部だけを撤去する場合は、残す部分との境界が分かる表現にします。

図面が古い、または現況と異なる場合は、その旨を調査側へ伝えます。図面の表記だけで面積を確定せず、現況や工事範囲との違いがないかを確認します。

床面積の合計を確認する

床面積を確認する際は、部分ごとの数値を工事範囲表と対応させます。どの階・区画を合計に含めるかが不明だと、80平方メートルの基準を正しく確認できません。

面積資料に、建物全体の延べ面積と工事対象部分の床面積の両方がある場合は、列を分けて記載します。数字の単位や対象範囲も併記し、後から見た人が混同しないようにします。

元請へ渡す情報をまとめる

元請が報告要否を確認できるよう、図面、範囲表、面積の整理表、工事区分をまとめて渡します。関係請負人がいる場合も、工事の一部ごとに情報が分散しないようにします。

調査対象と報告対象を混同しないため、資料の表題にも「調査範囲」「解体範囲」「床面積の整理」といった役割を付けます。情報を一枚に詰め込むより、対応関係を追える状態にします。

報告前に確認する契約情報

面積のほか、工事区分と報告主体を同時に確認します。 部分解体の面積を確認できても、誰がどの範囲を請け負うかが不明だと、報告の準備につながりにくくなります。

部分解体の面積・工事区分・報告主体を確認する図
部分解体の面積・工事区分・報告主体を確認する図
確認事項見る資料確認の目的
報告主体契約関係・担当範囲元請を確認する
工事区分発注書・工程表解体か改修かを確認する
契約の分け方契約書・範囲表合算の確認につなげる

元請による報告を確認する

工事の一部を請け負わせている場合は、最も先次の請負契約における注文者である元請が、関係請負人分をまとめて報告します。発注者側は、部分解体の範囲と面積資料を元請へ渡し、報告の準備状況を確認します。

調査結果の書面説明を受けることと、報告を行うことは別の役割です。書面の内容、契約関係、報告の対象を別々に確認します。

分割契約の有無を確認する

同一の事業者が二つ以上の契約に分割して請け負う場合は、一の契約で請け負ったものとみなします。部分解体の面積基準とは別に、改修などで請負代金を使う場合には契約情報の整理が必要です。

工事が複数の契約に分かれているときは、契約の枚数だけで判断せず、請け負う事業者と工事内容を対応させます。部分解体の面積と契約関係は、別の確認欄として整理してください。

同一事業者による分割契約を一の契約として扱う図
同一事業者による分割契約を一の契約として扱う図

部分解体の範囲を整理するときは、建物全体の延べ面積と、今回の工事で解体・改造・補修等を行う範囲を混同しないようにします。図面や工程表で対象区画を示し、面積の根拠になる資料を案件ごとに残すと、報告の対象確認を説明しやすくなります。

工事範囲に追加や変更が生じた場合は、当初の判断だけを残すのではなく、変更後の範囲で確認した経緯も整理します。面積の数え方と、報告を行う主体の確認は別の欄で進めてください。

まとめ

部分解体の80平方メートルは、建物全体の延べ面積ではなく、当該工事に係る部分の床面積の合計で確認します。事前調査、面積による報告基準、元請の報告主体を分け、図面と範囲表で根拠を残すことが重要です。

解体工事の報告基準に関する次の確認事項は、法令・制度解説の記事一覧から確認できます。

よくある質問

Q. 部分解体の80平方メートルは建物全体の延べ面積で判断しますか
建築物の解体工事では、石綿障害予防規則第4条の2第1項1号にある当該工事に係る部分の床面積の合計で確認します。建物全体の延べ面積だけを基準にするのではなく、今回解体する区画・階・部位を図面で特定してから確認します。
Q. 80平方メートル未満ならアスベスト事前調査は不要ですか
80平方メートルは解体工事の報告対象を確認する基準であり、事前調査義務の線引きではありません。事業者が建築物等の解体・改修を行う場合は、規模にかかわらず、解体等の作業に係る部分について事前調査を確認します。
Q. 面積を確認するためにどの資料を用意しますか
解体する範囲を示す平面図・配置図、工事範囲表、部分ごとの床面積を整理した資料を用意します。資料ごとに対象範囲がずれていないかを確認し、元請が報告要否を確認できるよう、工事区分と契約関係の情報も併せて共有します。

出典

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